神戸市立医療センター中央市民病院様は神戸市の基幹病院であり、月平均で約220件もの転院調整が発生していました。頻回な電話連絡やFAX送付作業が大きな負担となっており、退院支援部門においてもDX化を検討される中、CAREBOOK(ケアブック)を2022年9月から導入いただいております。今回は地域医療推進課の皆様に、CAREBOO導入後の業務の変化などについて伺いました。
CAREBOOK採用の決め手は、同一医療圏でも導入検討されていたこと
CAREBOOK導入のきっかけを教えてください。
松永様
私は2年前に別の部署から地域医療推進課に異動してきたのですが、ソーシャルワーカーたちが転院調整を行うためにひたすら電話とFAXを送っている姿に驚きました。少しでも効率よく転院調整ができないかと思ったことがきっかけです。さまざまなサービスを調べる中で、CAREBOOKはクラウド上でやり取りができるため、新たなシステムを構築することなく導入できること、診療情報提供書などもPDFでアップロードできることなどを知り、私から問い合わせをしました。
鴎端様
現場としても、日々電話とFAXに追われていましたね。電話が繋がらないので先方に伝えたいことを伝えられませんし、些細な確認にも毎回電話しなければならず、お互い負荷がかかっていたのではないかと思います。CAREBOOKの説明を聞いたときには面倒なFAXの利用も減るだろうと想像ができ、これはいいなと感じました。
松永様
また、神戸市内のほかの病院でもCAREBOOKの導入を検討していると耳にしていました。地域連携システムは、同一地域で統一したほうが効果が出ると思っていたので、いくつか候補に上がった中でも、CAREBOOKを採用することを決めました。
CAREBOOK導入にあたって、院内で工夫されていたことはありますか?
松永様
若い世代は日常的にチャットに慣れているということもあり効果的だと感じた反面、ベテランのスタッフは今までのやり方を変えることに抵抗がありそうだとも感じました。
そのため、課内でCAREBOOK推進チームを発足させ、院内でのマニュアルを作成しています。ベテランのスタッフに対してのレクチャーも丁寧に行うことで、導入前に危惧していたほどの反発はなく、スムーズに導入を進めることができました。
「受電→メモを取る」作業が減り、転院調整にかけていた日数が大幅に短縮
連携病院の反応はいかがでしたか?
平川様
やはり導入当初はCAREBOOKで打診を行っても、電話でお返事をいただくケースも多かったり、打診内容を見てくれず数日間放置されてしまうこともありました。ですが、導入病院が徐々に増えていくにつれて、どの病院もCAREBOOKでの転院調整に慣れていき、今ではかなり円滑な運用ができています。
導入後の効果はどのように感じていらっしゃいますか?
松永様
かかってくる電話はとにかく減りましたね。CAREBOOK導入前は、事務職員がひたすら電話を取ってメモをとる時間が業務の大半を占めていました。それが原因で本来業務が進まないこともあったのですが、それがほぼなくなったと感じています。電話があったとしても「CAREBOOKに入力したので見てください」という電話くらいで、それ以外の問い合わせはほとんどなくなりました。
それと、以前は業務終了時間の間際にFAXを送付するための行列ができていたこともあったのですが、今はそのようなこともなくなっています。
鴎端様
また、当院ではCAREBOOK導入の有効性を検証するための調査やアンケートを実施しています。転院交渉開始日から転院日までの日数(交渉日数)を月別に算出し、CAREBOOK導入前の同時期と比較しました。その結果、2022年2月に14.0日だった交渉日数は11.2日に、3月は12.5日から9.0日に短縮されるという結果が出ています。
退院支援担当者21名に行ったアンケートでは、61.9%が「転院先とのやり取りで発生するストレスが減少した」と回答しています。チャットコミュニケーションにより電話回数の減少や、時間を気にせずに打診できることも影響して、精神的負担の減少にも貢献していると感じています。このほか、「チャット上で質問内容を確認できることで、落ち着いて対応できるようになった」など、CAREBOOKに肯定的な意見が多く見られました。
CAREBOOKが共通言語となり、連携が深まることも期待
CAREBOOKの導入を考えている方に向けて、メッセージをお願いします。
平川様
CAREBOOKの導入は難しいこともなく、大掛かりなシステムを新たに構築する必要もないので、手軽に始めることができると思います。難しく考えずに、まずは使っていただければその便利さを実感してもらえるのではないかと感じています。
鴎端様
CAREBOOKを利用することで、「顔の見える連携」が減ってしまうのではないかと思われる方もいらっしゃるかもしれません。確かに電話が減った分、会話する機会は減ったと思います。ただ、それで問題が発生することはなく、いい意味で以前と変わりない関係性を保つことができています。連携会議の際にはCAREBOOKの使い方が話題にも出ることもあるので、CAREBOOKが共通言語となり、さらに連携が深まるということも期待できるのではないでしょうか。
神戸市内はもちろん、市外への転院調整でもCAREBOOKを活用しており、今ではなくてはならないものとなっています。