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介護保険制度施行から16年を経て、ケアマネージャーの作成するケアプランの意義が介護の専門職のみならず世間一般の方々にも広く理解されるようになってきました。

ケアプランにある目標を達成するためにはケアチーム全体で協力し支え合うことが大切です。そのためには多職種との連携は欠かせませんが、苦労することも多いです。

介護福祉士として連携で苦労したエピソードをご紹介します。

◆なかなか開かれない担当者会議

デイサービスの相談員兼介護福祉士として連携で苦労したお話を紹介します。

90歳の女性利用者Aさんのケースでは、デイサービス利用日の朝のお迎えで気になる場面を幾つか目の当たりにしました。気になる点は次の3つです。

  • デイサービスの送り出しの準備をしてくれるはずの20歳の孫娘がいつも寝ている。
  • Aさんは朝食を摂っていない、薬も服用していない、いつもパジャマ姿。
  • 孫娘の子である1歳児のおむつ交換をAさんがしている。

Aさんの家族構成は長男家族、孫家族の3世代同居です。デイサービスの送り出しの時間は、孫娘以外の大人は皆仕事に出てしまっているので孫娘がAさんの朝の身支度を行うことに決めていました。

デイサービスの複数の介護福祉士の間では朝の送り出しだけではなく、Aさんに対する自宅での介護について心配する声が聞かれたので担当者会議の開催をケアマネージャーにお願いしました。 しかし、デイサービスの介護福祉士から提案されたのが不服であったのかケアマネージャーからの返答は「担当者会議の必要性は私が判断するので、しばらく様子をみて。」ということでした。その後、様子をみていましたが週2回相変わらずAさんも孫娘さんも寝ているか、若しくはAさんは起きていてもデイサービスの行く準備ができていないこと、食事が十分に摂れていない点が改善されなかったので再度ケアマネージャーに報告しました。

ケアマネージャーはようやく担当者会議を開催してくれることになりましたが「担当者会議の日程調整をします。仕事で忙しい長男のお嫁さんも仕事を休んでくれるのですって。それでいいですか。」という電話がデイサービスに来ました。 担当者会議当日は不満そうな長男のお嫁さんとケアマネージャーと同じ時間を共有することが大変苦痛でした。

しかし、デイサービスの介護福祉士としてはAさんの在宅生活を支えるために、誰に何ができて何ができないのかを明確にしてほしいということだけは伝えることができたのでした。

◆専門職以外の人との連携、聞き入れてもらえない悔しさ

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介護老人保健施設の介護福祉士として連携で苦労したお話を紹介します。

介護老人保健施設のケアチームの構成メンバーは、施設ケアマネージャーの他に医師、リハビリ専門職、栄養士、看護師、介護福祉士であることが多いです。これらの職種間ではケアプランに基づいた支援の方法を共通認識できています。

しかし、利用者にとって生活の場である施設には、事務職員や夜警専門で雇用されている方なども日常的に居るのです。事務職員や夜警さんは利用者本人の詳しい心身の状況やケアプランの内容は承知していないことが多いです。そのため悪気なく利用者さんの言うとおりに動いてしまうことがあります。

あるとき、一見しっかりしているように見える利用者さんが、夜勤帯に夜警さんの詰め所を訪れ、世間話しをしながら煙草をもらって吸ってしまったことがありました。また、糖尿病の方が事務職員にお願いして甘いジュースを自動販売機から毎日買ってもらって飲んでいたということもありました。

いずれのときにも、居合わせた介護福祉士が事務職員や夜警さんに注意して関わってほしい点を説明しました。しかし、「そんなこと知らなかったよ。関わって困ることがあったら先に言ってくれ。」という反応です。そして「だったら介護が目を離さないでいればいい。」とも。事務職員も夜警さんも、利用者さんの話し相手になりながら本人がしてほしいということを親切で行ってくれたのですからその反応も仕方がないかもしれません。 後日、ケアマネージャーが特に注意が必要な利用者さんのリストを作成し施設内の全ての職種に周知徹底しました。健康上の理由で対応に注意が必要な方については医師が細やかに説明し、皆が納得しました。

実際にリアルタイムで多職種と連携しないといけない現場に居合わせることが多い介護福祉士としては、同じ内容でも介護福祉士が言うのでは相手が納得してくれないのに、立場が異なると相手の捉え方が違うものだと落ち込みました。

しかし、結果的には利用者さんのためになれば良いと開き直り、ケアチームの要であるケアマネージャーが連携の役割を担うのだと、考えるようにしました。

◆利用者さん本人の声よりもご家族の意見が通ってしまう

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通所リハビリの介護福祉士として連携に苦労した一例を紹介します。

通所リハビリの利用者さんで、パーキンソン病を患っている方がいました。歩き始めの一歩がスムーズに出ないことや、いざ歩き始めても一度立ち止まるとテンポよく足を運ぶのにまた時間がかかってしまうというパーキンソン病特有の症状がみられています。通所リハビリの利用中は杖を使用しますが、自宅内では家族が手引き歩行します。通所リハビリの送りでは自宅の居間のソファに座るところまでの介助を介護福祉士が引き受けています。玄関から居間のソファまでは介護福祉士が手引き歩行をするのです。

ある日、ケアマネージャーからご家族の希望を受け、自宅内の移動に固定式歩行器の使用をしてはどうかという提案がありました。そして、通所リハビリの介護福祉士が自宅に送った際にソファまでの移動で使用してみて感想を聞かせてほしいというのです。まずは試しに1週間、使用してみることにしました。

介護福祉士が傍に付き添い、歩行を促します。重心移動の声かけや「せーの、1、2、1、2・・・」といつも手引き歩行をする要領で掛け声をかけますが固定式歩行器ではなかなかうまく歩くことができません。焦れば焦るほどパーキンソン病の方の動きは硬くなってしまいます。更に居間には大きさの異なる絨毯が2枚重ねて敷かれていて、そのために生じている段差に歩行器の足が引っ掛かってしまうのです。そもそも固定式歩行器は本人が歩行器を持ち上げながら一歩一歩移動するので、このケースの場合は難しいようでした。

介護福祉士は1週間使用してみた感想をケアマネージャーに報告しました。ケアマネージャーは報告を受け担当者会議を開催することに決め、開催に先立って介護福祉士に電話がかかってきました。ケアマネージャーは「慣れたら上手く使用できるのではない?まずは必要性があると判断できないかな?ケアプランに関係各所から固定式歩行の必要性があると記載したいのだけれど。」と言うのです。実際に関わって判断したことなのでそれはできないと話しましたが、担当者会議当日には「まずはレンタルしてみて、駄目なら中止しましょう。」ということに決まってしまいました。固定式歩行器のレンタル業者も同席していますが身体の状況と適合しているか否かなどの確認や用具に対する専門性の高い説明もありませんでした。介護福祉士の方から「通所リハビリのリハビリ担当職も、固定式歩行器の使用は難しいだろうという話がありました。」と伝えましたが、結論は変わりませんでした。

その後、通所リハビリで固定式歩行器使用の練習を試みましたがやはり不適合と判断され、レンタルは1カ月で中止になりました。結局固定式歩行器は自宅でもほとんど使用されることはありませんでしたが、1か月分のレンタル料は当然発生してしまいます。

介護福祉士の声が利用者の代弁でもあるということを、同じケアチームのメンバーに理解してもらうことすら上手くいかないものだと感じました。

家族の希望は純粋で、ある意味無知な状態で出される場合もあります。その希望が本人にとって必要なことか否かを適切に判断する材料として、介護福祉士の発する声にも耳を傾けてほしいです。

◆利用者さん本人の声に向き合って欲しい

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ショートステイの介護福祉士として連携に苦労した話をご紹介します。

ある女性利用者さんは脳梗塞による後遺症で右半身に麻痺をきたしています。同居家族は夫だけなので、自宅では十分な介護ができません。施設入所待機でショートステイの利用をしています。2人の息子たちはいずれも県外に住んでいます。

ショートステイの利用では時々衣類の入れ替えなどをお願いするのですが、このケースではなかなかそれが上手く伝わらないことがありました。

家族への連絡はショートステイの生活相談員が行うのですが、いくら待っても新しい下着の補充が叶いません。下着にほつれがあったり、随分消耗した状態になっているので介護福祉士から生活相談員にそのことを再三伝え、夫に連絡をしてもらうようにするのですが生活相談員は「少しくらいなら繕ってあげて。あちらも男性なので女性の下着を買いに行くのは抵抗があるだろうし。お正月に息子さん家族が来た時にお願いしよう。」と言う具合です。介護福祉士がほつれを幾度か繕ったり、無理して古くなった下着を使い続けましたが入浴時は他の利用者の目も気になるのか本人は恥ずかしそうにしています。

介護福祉士から生活相談員に、誰かが代わりに購入するなどの手立てはないかも提案しましたが新たな展開はありません。

そこで、業を煮やした介護福祉士が夫に直接電話をしてしまったところ、生活相談員に知れることとなりました。生活相談員の立場からは、なぜ介護福祉士が直接利用者のご家族とやり取りをするのだ、という言い分です。しかし、介護福祉士にも言い分があります。結局、県外に住む息子さんのお嫁さんが宅急便で送ってくれることになりました。

何事も相談すれば、新たな手立てや協力が得られることもあります。生活相談員一人の思い込みで判断せずに、介護福祉士の声、何より本人の声や本音に向き合ってほしいと感じました。

◆おわりに

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介護保険制度の制定によって、高齢者介護はチームケアで計画的に行うという基礎ができました。 多種多様な介護サービス事業の中にあって介護福祉士は特に高齢者自身に近い存在です。高齢者介護がチームケアである以上、特に介護福祉士は高齢者の変化によく気付き、時に代弁者となることも必要です。多くの専門職との連携の中で、介護福祉士として意見や考えを述べることが難しいと感じている人も多いでしょう。

しかし、介護を必要としている高齢者の望む暮らしを実現するためには多職種連携は欠かすことのできないことです。他の専門職種同様に介護福祉士の声もまた非常に貴重であることに変わりはありません。

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