訪問看護に関わる診療報酬は、2016年に6項目が改定されました。この記事では6項目のうち「在宅自己注射指導管理料の見直し」について解説します。

結論を先に申し上げますと、在宅患者の重症化によって、在宅自己注射の回数が増えたため、報酬を上げることにしたのです。

◆そもそも在宅自己注射とは

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在宅自己注射とは、文字通り、患者自身が注射器を握って自分に注射をする薬の投与法です。本来、注射による薬剤投与は、医師または看護師しか行えません。しかし特定の病気の患者は、頻繁に注射投与が必要でそのたびに医療機関に通うことになれば患者の生活は著しく害されます。

そこで医療機関による適切な指導・管理の下で、患者に在宅自己注射をさせるわけです。 在宅自己注射が行える薬剤は決まっていて、糖尿病患者のインスリン製剤や、低成長患者のヒト成長ホルモン剤などです。(対象薬剤の詳細は末尾にまとめてあります。)

◆そもそも在宅自己注射指導管理料とは

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在宅自己注射指導管理料は、患者に在宅自己注射の指導とその後の管理を行う医療機関が請求する診療報酬です。診療報酬ですので医療保険制度のメニューであり、介護保険制度とは関係ありません。

また、訪問看護ステーションがもらえる報酬でもありません。しかし訪問看護ステーションの管理者は、在宅自己注射指導管理料について熟知しておかなければなりません。

「在宅自己注射」指導管理料は、「在宅療養指導管理料」のひとつでで、その他の在宅療養指導管理料には、「在宅酸素療法」指導管理料や「在宅中心静脈栄養法」指導管理料、「在宅寝たきり患者処置」指導管理料などがあります。

高齢者に関わる医療が多く、訪問看護の仕事に関わる内容ばかりです。このことは医療機関や医師たちは、自分の在宅患者を看てもらう訪問看護ステーションを選択するとき、「在宅療養指導管理料を算定できる在宅療養についてどの程度スキルがあるか」を重視する、ということに他なりません。

ですので訪看ステーション管理者は、在宅療養指導管理料には、これだけの種類(末尾にまとめてあります。)があることを知っておいてください。

 

◆なぜ在宅自己注射指導管理料は2016年に改定されたのか

2016年に在宅自己注射指導管理料の見直しが行われたのは、実際の医療が制度にそぐわなくなったからです。 従来の報酬は次の通りでした。

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これでは、月5回でも月27回でも2900円なのに、月28回なった途端8100円まで上昇してしまいます。在宅患者の重症化が進み、在宅自己注射の回数が多くなる中で、これではあまりに極端な報酬設定といえます。

そこで2016年から次のようになりました。

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報酬設定を従来の4段階から2段階へとシンプルにして、回数が少なくても一定程度の報酬が得られるようにしたのです。月28回以上の報酬は減っていますが、実質的な「大幅値上げ」といえるでしょう。

また今回の改正で、在宅自己注射を導入したときの初期加算が500点から580点に上がりました。これは医師が在宅自己注射の処方に積極的になるよう促すものです。ここにも、在宅療養を充実させようという厚生労働省の意図がうかがえます。

◆おわりに

今回見た在宅自己注射指導管理料の見直しは、訪問看護ステーションの「売り上げ」には関係しませんが、「業務」には大きく関係してきます。というのも、厚生労働省がこの改定に踏み切ったのは、在宅難病患者対策の一面があるからです。訪問看護ステーション管理者は、スタッフ教育の中に「難病・重症患者ケアのスキル向上」を盛り込む必要があるでしょう。

◆参考資料

●厚生労働省資料「個別改定項目についてⅠ地域包括ケアシステムの推進と医療機能の分化・強化、連携に関する視点」

●厚生労働省資料「保険医が投与することができる注射薬及び在宅自己注射指導管理料の対象薬剤の追加について」

●今日の臨床サポート「第1款 在宅療養指導管理料」

 

◆脚注

対象薬剤リスト

  • インスリン製剤
  • 性腺刺激ホルモン製剤
  • ヒト成長ホルモン剤
  • 遺伝子組換え活性型血液凝固第Ⅶ因子製剤
  • 遺伝子組換え型血液凝固第Ⅷ因子製剤
  • 遺伝子組換え型血液凝固第Ⅸ因子製剤
  • 乾燥人血液凝固第Ⅷ因子製剤
  • 乾燥人血液凝固第Ⅸ因子製剤
  • 顆粒球コロニー形成刺激因子製剤
  • 性腺刺激ホルモン放出ホルモン剤
  • ソマトスタチンアナログ
  • ゴナドトロピン放出ホルモン誘導体 1
  • グルカゴン製剤
  • ヒトソマトメジンC製剤
  • インターフェロンアルファ製剤
  • インターフェロンベータ製剤
  • エタネルセプト製剤
  • ペグビソマント製剤
  • スマトリプタン製剤
  • グリチルリチン酸モノアンモニウム・グリシン・L-システイン塩酸
  • 塩配合剤
  • アダリムマブ製剤

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