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皆さんは精神科訪問看護と聞いてどのようなイメージを持たれますか?

「家に行くって怖そう」とか「身体管理が少なくて楽そう」など憶測はできるものの、実際のところはどうなのかわかりませんよね。

そこで今回は、私の思う治療のあり方も加えながら、あまり知られていない精神科訪問看護についてその目的や具体的なケア内容をお伝えします。

◆統合失調症

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統合失調症における主な症状は、幻聴、幻覚、妄想、思考障害、また反対に無為、自閉などがあり、統合失調症は精神疾患の中で一番多い疾患です。治療の基本は薬物治療になります。内服をきちんとすれば症状は緩和し、再発を防ぐことができる病気です。

統合失調症の方を訪問する目的は主に、

①内服状況を確認する

②病気と向き合い自身の成長につなげる

の2つです。

①内服状況の確認

についてお話します。統合失調症の再入院の原因で一番多いのは薬を中断してしまう事です。そのため、服薬管理は症状を悪化させないために最も重要です。具体的には、薬を処方された後、まず次回受診までの薬の数を確認します。そして薬カレンダーに1週間分セットし、次回訪問時に残薬確認します。これにより重複や飲み忘れがないか確認する事ができます。

しかしそれだけは完璧に確認する事ができません。なぜなら嘘をついている可能性があるからです。そうさせないために訪問看護職員は日頃から精神状態をしっかり観察していく必要があります。表情、言動、部屋の状態、服装など、薬を飲んでいないといつもと違う変化が生じきてきます。ちょっとした変化を見逃さず、気づいた時にはすぐに主治医や関係機関へ報告し、症状悪化を防ぐのも訪問看護の重要な仕事です。

②病気と向き合い、自身の成長につなげる

最近、統合失調症で入院中の患者さんの多くが、病院で自身の疾患について勉強をしているのですが、入院期間が短いため、退院後も継続して勉強をしていく必要があります。そこで訪問看護では、疾患についての勉強を行い、病気を理解した上での付き合い方を一緒に考えていきます。先ほど①で挙げた薬の例にしても、拒薬した事で症状がどうなったのか?またなぜ薬を飲みたくないのか?を振り返ってもらい、次にどうしたらよいか?を考えていきます。

統合失調症に対する訪問看護の仕事は、症状悪化や再入院につなげないために日ごろから精神状態や内服状況を観察し、失敗や経験を通して成長していけるように支援する事です。

◆境界型人格障害

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境界型人格障害は、俗にパーソナリティ障害とも言われる疾患です。

まず疾患についてですが、女性に多く、幼少期母親からの十分な安心感を受け取って来なかった事が病気の原因と言われています。そのため、「人から見捨てられる事への不安」が非常に強く、相手に必要以上に依存し、感情のコントロールができず自傷などの行動化にも移します。また相手を操作しようする傾向もあり、周囲を振り回していきます。これがこの疾患の特徴です。 では、境界型人格障害における訪問看護の目的は何でしょうか?それは「自分の行動に責任を持ち、問題を起こさず生活できるようになる」ための支援です。具体的なケア内容は、

①目標を決めてもらう

②約束事を決める

③約束が守れなかった時は振り返りをする

で、これを一貫して行っていきます。

一見、他の疾患に比べてシンプルな対応に感じますが、振り回され苦労するケースが多いです。その理由は、利用者さんとの一定の距離感が保てなくなってしまうからです。訪問看護は1人で訪問するため、「何かあったら自分が対応しなくては」と言う責任感が生まれます。この責任感が間違った方向に働き、相手の要求に応え、結果振り回されてしまうのです。

対策として、訪問導入時、利用者さんに訪問に入る目的を説明し、訪問でできる事、できない事の線引きをした上で、治療契約を結びます。そして訪問では利用者さんと絶えず目標の確認とその振り返りを行い、現状をきちんとフィードバックします。そうする事で訪問の目的を見失わないようにします。そしてもう一つ、訪問で関わる職員を二人体制にします。できれば経験値の高い職員とペアで入り、常に関わり方、相手との距離感、目標、約束事を二人の目で確認します。そうする事で自分たちの関わりを客観的に振り返ることができ、必要以上に距離が縮まる事を防ぎます。

一定の距離を保ち、関わりすぎず、客観的なフィードバックを繰り返しながら行う対応こそが、利用者さんの依存を防ぎ、自己決定や自分の行動に責任を持つ支援につながります。

◆広汎性発達障害

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広汎性発達障害とは自閉症、アスペルガー症候群、レット障害、小児破壊性障害、特定不能の広汎性発達障害を含む総称です。特徴としては他者と興味の共有ができない対人関係の障害、言葉が覚えられないなどコミュニケーション障害、音や物に対する感覚過敏、鈍麻などの感覚障害があります。

今と違って昔は、乳幼児期の定期検診で疑いがあればすぐに療育を受けることができませんでした。そのため、訪問看護の指示箋が出る方の多くは、大学や就職した際、社会とうまく適応できなくなり、他の精神疾患を発症して、初めてご自身のベースに発達障害があった事に気付かれるケースがあります。訪問看護では純粋な広汎性発達障害に対するケアだけでなく、他の疾患の症状にも注意してみていく必要があります。

広汎性発達障害に対するケアの目的は社会生活が送りやすくするための方法を考えていく事です。

例えば、広汎性発達障害の利用者さんは、深夜早朝関係なく電話をかけて、相手から苦情を言われると怒り出したりします。想像力に乏しく、相手の気持ちを理解することが苦手なのです。これは社会生活を送る際に大きな足枷になりますよね。そこで訪問看護では、電話をかける時のルールを決めていきます。このとき「夜は遅いからかけない」など曖昧な表現では理解しづらいため、「〇時からはかけない」や「かける前は相手にメールで確認し、返信を待ってから」など具体的に提示します。このように何か問題にぶつかる毎に利用者さんが行いやすい方法を探していきます。

また新しい事へチャレンジする際も、イメージしやすいよう事前に新しい事の内容や流れを伝えておくと、不安の軽減につながります。ケアをする際の注意点として、人に触られること対し過剰反応されたり、強いこだわりから言葉かけ一つで不快な気分になったりする事があるため、利用さんの特徴をしっかり理解した上でのケアが必要です。

また、私たちが想像している以上に周りとの差に焦りを感じておられることがあります。就職の事や、女性であれば結婚や出産など不安に対し、しっかり気持ちを受容する事、そして周りの社会資源の利用、またその専門職員と連携を図り、利用者さんにとって社会参加しやすい環境を整えて行く事が大切です。

◆認知症

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認知症は、アルツハイマー型、脳血管性認知症、レビー小体型、前頭側頭型の4つタイプに分かれます。訪問で一番多いのはアルツハイマー型認知症です。アルツハイマー型の特徴は女性に多く、症状は中核症状として記憶障害、見当識障害、判断力の低下などが見られます。周辺症状(BPSD)としては徘徊、妄想、異食、せん妄、暴力、睡眠障害などがあります。

認知症の方に対する訪問看護の目的は、在宅で安全に生活して頂くための支援です。具体的には

①薬剤調整のための主治医への報告

②家族の相談支援

が訪問看護の役割になります。

①薬剤調整のための主治医への報告

ですが、入院中の患者さんであれば、薬剤調整を行うに当たり、主治医は患者さんの状態を観察することができ、転倒のリスク、嚥下障害のリスクに対しても病棟内で環境を整えることができます。しかし在宅の場合、薬の効果をタイムリーに観察することができず、副作用により起こるリスクにすぐ対応できません。そのため主治医は病院に比べ慎重に薬の調整をされます。訪問看護では利用者さんの状態をしっかり観察し主治医へ報告する必要があります。

薬の効果については、問題行動が減っているのか、減らなかった場合は頓服薬で収まる範囲であるのかをチェックします。副作用では転倒のリスク、流延、誤嚥のリスク、会話中の呂律、表情、活気、コミュニケーション能力は保たれているのかを観察し、主治医へ報告します。訪問看護からの情報と、受診時での利用者さんの様子、家族からの情報を元に薬剤調整を行うため、正しい情報を主治医に提供することは非常に重要です。

②家族の相談支援

症状により利用者さんと良好な関係が築けず、家族も精神的に苦しんでおられるケースも多々あります。その際、家族の不安も一緒に傾聴して、問題行動への対応を医療的立場で説明し、家族に対してもケアを行っていきます。またケアマネとも連携し、利用者さん、ご家族の苦しみ、問題を早期に共有し解決につなげていきます。

◆利用者さん自身の力で生きていけるようケアするのが精神科訪問看護師の役割

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精神科訪問看護の仕事は、身体管理はほとんどなく、その分身体的には楽と言えるでしょう。しかし、時には怖い思いをしたり、精神的に追い詰められたりします。

精神科訪問看護は、利用者さんが病気と向き合い、成長へつながる支援ができるお仕事です。病気の症状に振り回されていた方が自身の病気について知ろうとされた時、引きこもりだった方が就労を目指そうとされた時、成長の喜びや社会と繋がれた時の喜びを私たち職員も一緒に共有する事ができます。

母親は言い過ぎかもしれませんが、利用者さんを強引に誘導するのではなく、横で見守り、失敗や成功を繰り返しながら、利用者さん自身の力で生きていけるようケアをするのが私たち精神科訪問看護職員の役割です。

 

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