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2016年の介護保険制度は、2015年4月に改正されたルールで運営されていますが、このとき「ちょっとした事件」がありました。介護保険制度は、本当は6年ごとに法改正することになっていたのですが、前回の2012年から3年しか経過していない2015年に改正が実施されたのです。「改正の前倒し」は介護保険財政の深刻度が増していることを意味しています。

介護を受ける高齢者にとって厳しい内容になっている「いまの介護保険制度」について解説した上で、2018年4月に実施される予定の「次の介護保険制度」について紹介します。

◆コストダウンは「特養制限」と「自己負担増」の2本柱

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現在の介護保険制度の特徴を一言で言い表すと「コストダウン」です。介護保険がスタートした2000年の介護費用はわずか3.6兆円でしたが、2013年には9.4兆円にまで膨らみました。国内の高齢者の人数が最も多くなるのは2025年で、この年には21兆円にまで拡大するとみられています。 (データソース: 「介護給付と保険料の推移」(厚生労働省))

そこで2015年4月から、

①人気がありすぎるためにおカネがかかりすぎている特養で入居制限を行う

②収入に余裕がある介護高齢者の自己負担を増やす

というコストダウンを実施されました。

◆特養は要介護3以上の人じゃないと入れない

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特養こと特別養護老人ホームは、入居費用や介護費用が安い上に、お看取りまでしてくれるので、爆発的な人気を誇っています。テレビや新聞などで「施設に入れない待機高齢者」が取り上げられますが、これはすべて特養のことです。ひとつの特養で、待機高齢者300人、入居まで3年というところも珍しくありませんでした。

そこで国は2015年4月から、特養に入ることができる人を「原則要介護3以上」と決めました。介護高齢者は「要支援1・2・要介護1・2・3・4・5」の7段階で症状を区分けしていて、「要介護3」は3番目に重い人となります。つまり「症状が重い人しか特養に入れない」というルールになったのです。

このルールはすぐに効果が出ました。2016年6月30日付の毎日新聞によると、東京都青梅市の特養では、待機高齢者がかつての300人から100人に減ったそうです。ただ同じ記事では、要介護度が低い低所得者が、「安くて最期まで居られる」特養に入る道が閉ざされ、「漂流している」とも述べられています。

◆自己負担の金額が2倍になる人はおカネ持ち?

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さらに2015年からは、年金収入が年間280万円以上の介護高齢者は、介護サービスを受けたときの自己負担割合が2割になりました。以前は誰でも1割負担でした。つまり介護高齢者が毎月支払うおカネが2倍に増えたのです。

おカネに余裕がある人に負担増をお願いした形ですが「年収280万円」を「余裕」とみるかどうかは議論の余地がありそうです。

また、老健こと介護老人保健施設では、従来は入居者の収入に応じて費用の一部が免除されていましたが、これを厳格化して、預貯金が1000万円以上ある人には免除がなくなりました。

◆市町村への押し付け?

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2015年改正では、症状が軽い「要支援1と2」の人への介護予防サービスの実施者を、国から市町村へ移しました。市町村が行えば、国の経費負担がその分浮くわけです。とはいえ、市町村の財政も厳しいので、「ただ押し付けるだけ」では市町村は納得しません。

そこで国は「要支援1、2の人への介護予防サービスを、地元のボランティアやNPO、企業にやらせなさい」と言ったのです。ボランティアであれば無償か、有償でも低額で行えます。また企業はコストダウンが得意ですので、国より効率的にサービス提供できると考えたわけです。

◆2015年改正を「ひどい」という人と、「生ぬるい」という人

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こうした「コストダウン改正」について、「介護難民や看取り難民が増える」と批判した医師の団体がありました。しかし経済界からは「真に救済すべき人に介護サービス給付を限定した姿勢を評価する」とした上で、「高齢者の人口増の大きさと比べると、踏み込み不足の感は否めない」という声が上がりました。つまり「コストダウンが生ぬるい」というのです。

データソース

「一体改革路線を進める医療・介護総合法案に対する見解」(全国保険医団体連合会)

「医療介護総合推進法の評価と課題」(日本総研) 

◆2018年改正はさらに縮小が進む?

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次回の2018年改正でも、「おカネに余裕がある介護高齢者はもっと自己負担してください」「いままで手厚かったところをもう少し省かせてください」という流れが強まることは確実です。

2015年に要支援1と2の人へのサービス制限が行われましたが、2018年改正ではこれが拡大し、要介護1と2に対する生活援助、福祉用具の貸与、自宅内の段差解消費などが削られる方向です。

さらに、介護事業者の売り上げとなる介護報酬も減ることも避けられない模様です。これにより倒産する介護施設も増えると予想されます。

◆おわりに

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介護保険には、多額の税金が投じられています。そして税金を多く払っているのは、介護を受けていない人です。介護を受ける人は今後さらに増えるので、介護を受けていない人の税負担もさらに増えるのです。

介護保険だけでなく、医療保険も同様の構図になっています。これがいわゆる「世代間の不公平」であり、飛躍的な経済成長が見込まれない中、政治と行政がどのように世代間の調整を図っていくのか見守る必要があるでしょう。

 

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