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病院や診療所で働いている看護師が「訪問看護ステーションを開業しよう!」と決めたとき、3つの「集め」が必要です。それは①資金集め、②スタッフ集め、③利用者集めです。

利用者集めについては「訪問看護ステーション管理者が知りたい『営業・利用者獲得術』とは」で解説しましたので、ここでは資金集めとスタッフ集めについてみてみます。

◆開業資金はずばり800万円

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訪問看護ステーションを開業するために必要な現金は、ずばり800万円です。この金額より少ないと、開業にこぎつけることはできても、余裕がなくなり苦しい思いをするでしょう。 800万円の内訳は後の章で解説するとして、次にこれだけのおカネをどうやって用意するか考えてみましょう。

預貯金でまかなえるのであればそれを使ってもかまわないのですが、その場合「もし訪問看護ステーションが倒産したら無一文になってしまう」ということを覚えておいてください。その事態を回避するには、金融機関からおカネを借りることです。

◆日本政策金融公庫の融資を考えてみる

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そこで活用したいのが日本政策金融公庫の融資です。訪問看護ステーションの開業を目指す人は女性が多いと思いますが、日本政策金融公庫の融資には、女性の起業に特化した「女性起業家支援資金」があります。これは最大7,200万円まで借りることができ、年利は2%ほどです。

日本政策金融公庫の支店は、お住まいの都道府県内に必ずあります。「開業したい」と思ったら、まずはお近くの支店に行き、①そもそも融資が受けられるのかどうか、②必要書類、③返済プランを尋ねてください。

もちろん「公庫がベスト!」と言っているわけではありません。もし銀行や信用金庫などとお付き合いがある方は、そちらの金融機関でも全然OKです。

◆「自分はおカネの素人」という自覚を持ちプロの話を聞くことが大事

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日本政策金融公庫などの金融機関の社員との最初の面談で、「おカネを借りることはとても大変だ」と感じたら、合格点です。訪問看護ステーションの開業を目指す看護師には、ぜひとも「多額の借金をして事業を始めること」について、おカネのプロから学んでほしいのです。看護師はおカネの素人だからです。

おカネの素人は、住宅ローンも開業・運転資金も「多額の借金という意味では同じ」と考えてしまいがちですが、それは間違った考え方です。住宅ローンはむしろ、コンビニでコーヒーを買おうと思ったけど小銭がなかったから友人から200円借りるケースと似ています。つまり住宅ローンもコーヒー代の200円も「借金=モノとサービス=返済」という構図です。

一方で開業・運転資金は「借金<投資+雇用+モノとサービスの創造=返済+利益」です。借金が単純に「モノとサービス」や「返済」に変わるだけでなく、「投資」や「雇用」や「利益」を生み出すので、かなり複雑です。そして将来的に必ず、借金の金額を上回るおカネを作り出さなければならないのです。

◆無借金経営は理想だが必要な借金もある

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先ほど「自前の預貯金で800万円を用意できたとしても、融資を受けた方がよい」と述べましたが、そこには、おカネのプロと接触する目的もあるのです。おカネの素人は、融資の金利がもったいないと考えてしまいますが、きちんとした金融機関の金利であれば「おカネと経済活動について学ぶ授業料」と考えると、決して高くないと思います。

もちろんこれは、無借金経営を否定するものではありません。むしろ無借金は理想です。ただ一方で「事業を行うには必要な借金がある」ということも、経営の事実なのです。

◆800万円のうち75%は人件費

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訪問介護ステーションの開業資金は800万円とお話しましたが、厳密にいうとこれは運転資金も含んだ額です。まずおおざっぱに人件費と人件費以外に分けますと、人件費が600万円、人件費以外が200万円です。

人件費の600万円は、800万円の75%を占めますが、これだけかけてもここでの試算の中には経営者の給料は含まれていません。訪問介護ステーションを開設するには「経営者看護師」の他に2名の「スタッフ訪問看護師」が必要で、その2名分の人件費は月額60万円程度と考えておきましょう。つまり600万円とは、10カ月間ほとんど収入がなく、経営者が無給で働いても、2名のスタッフ訪問看護師にきちんと給料を支払うために必要なおカネなのです。

「そこまでしなければならないの?」と感じるかもしれませんが、経営者は「給料を遅配したらスタッフはすぐに逃げる」と覚えておいてください。

800万円のうち、人件費以外の200万円は、会社設立費、事務所費、自動車リース料などです。訪問看護ステーションを立ち上げるには、株式会社を設立することをおすすめしますが、その詳細は後日公開予定記事の「私でも訪問看護ステーションを開設できる?③行政手続きと必要物品リスト」で解説します。

◆スタッフをどう集めるか? 友達は頼りにしない方がよい

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訪問看護ステーションは、経営者を含めて訪問看護師が常勤換算で2.5人いればOKです。「0.5人」とは半日パートのことですので、「人間としての人数」は最低3人必要です。つまり開業を志している人は、仲間を2名確保できれいいのです。

しかしその2名の確保は容易でありません。例えば、病院時代の同僚で「親友」「腹心の友」という間柄の看護師がいたとしても、仲間になってもらうことは困難を極めるでしょう。 逆の立場で考えてみてください。「親友」が訪問看護ステーションを立ち上げたとき、あなたは現在の病院での地位を捨てて、「親友」を助けるでしょうか。

また、友達同士で訪問看護ステーションを立ち上げるのも、あまりおすすめでしません。借金の負担割合や、どちらが社長をやるのかといった、軋轢の種は山ほどあります。しかも最少人数の3人で開業すると、1人でも退職すれば、その訪問看護ステーションはその日から休止に追い込まれます。

◆求人票を出す

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まずは、ハローワークに求人票を出しましょう。求人票を出す手続きは、行政手続きの中では簡単な方ですが、それでも看護師には高いハードルに感じるでしょう。ただこれも「勉強」です。社会保険労務士事務所に頼めば1万円以下で出してくれますが、それではいくら手元資金があっても足りなくなってしまいます。

また、求人を出す仕事は、労務管理の第一歩です。ハローワークの職員はとてもフレンドリーなので、「最近会社を立ち上げたばかりで、初めて求人票を出すのですが」と言えば、とても親切に教えてくれるでしょう。

人材企業の求人システムも利用しましょう。掲載費用や採用したときの成功報酬は発生しますが、ただ、こうした求人にかかる費用も、開業・運転資金の800万円の中に含まれています。

◆病院やクリニックに声をかける

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スタッフ訪問看護師探しでは、かつての勤務先への声掛けは忘れないでください。もし病院に勤務していたことがあれば、訪問看護ステーションの開業の営業を兼ねて、かつての上司に会いに行ってください。

というのも、病院勤務から訪問看護に転身したいと考えている看護師は少なくありません。そういう人を採用すれば、病院とのコネクションができ、患者の紹介につながります。

◆採用してから開業? 開業してから採用?

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スタッフは、訪問看護ステーションを開業してから採用した方がいいのでしょうか、それともスタッフを確保してから開業した方がいいのでしょうか。

答えは、採用してから開業する、です。一般的な順序は「会社の設立→スタッフ確保→訪問看護ステーションの開業」となります。そもそも訪問看護ステーションの開設手続きには、スタッフの看護免許証を提出しなければならないので、かなり早い段階でスタッフを雇用する必要があります。

そして理想形は「スタッフの確保→会社の設立→訪問看護ステーションの開業」の順です。当然、会社を設立する前でも、雇用したスタッフには給料を支払わなければなりません。しかしその効果は十分期待できます。会社の設立や事務所の確保から手伝ってもらうことで、そのスタッフには「自分は創業時のメンバー」という意識が芽生え、これはのちのち大きな力になるでしょう。

開業資金800万円は、多すぎるのでは?と感じた人もいると思います。しかし会社の設立から手伝ってくれる人には、少し多めのおカネを支払ってもいいでしょう。これは「おカネでつなぎとめる」という「気持ち」で支払うのではなく、「労力には必ずおカネで報います」という「経営方針」によって支払うのです。

資金調達とスタッフ確保が密接な関係にあることは、自身が労働者であったときのことを思い出すと容易に理解できると思います。

◆あわせて読みたい

私でも訪問看護ステーションを開設できる?〜①こんな人はあきらめなさい

私でも訪問看護ステーションを開設できる?〜③行政手続きと必要物品リスト

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