在宅患者が増えているにも関わらず、訪問看護ステーションの経営は年々厳しさを増しています。それは事業所数が2002年の4991件から、2016年の9070件へと82%も増えているからです。厚生労働省は、訪問看護ステーションが生き残るには「利用者・家族や医師、ケアマネージャー等からの評価を確立すること」が欠かせないと述べています。

では訪問看護ステーション管理者は、「評価確立」のために何をすればよいのでしょうか。意外に忘れられているのが「営業」です。

営業回りをする前の「仕込み」を忘れずに

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営業の仕事を始める前に行わなければならないことがあります。それはスタッフの接遇スキルを上げることです。ここでは「営業」に焦点を当てているので、スタッフの看護スキルは問題ない、という前提で話を進めます。

接遇教育をする前に営業をしてしまうと、返って評判を落とすことになります。訪問看護ステーション管理者による営業回りはとても効果が高く、一度あいさつに行っただけで、「わざわざ来てくれたから頼んでみるか」と言ってもらえることがあります。

しかし訪問看護師の接遇が悪いと、「管理者の愛想はいいけど肝心の看護スタッフがダメ」と思われてしまいます。これは致命傷となりかねません。

ですので管理者は、全スタッフに対し「これから営業回りをします。適切で丁寧な看護技術だけでなく、スタッフの笑顔と気配りをPRしてくるからね! みなさん接遇よろしく!」と伝えてください。

病院への営業って何をどうしたらいいの?

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営業を行うときに気を付けなければならいのは、

  • 病院→診療所→介護系の順で回る
  • 営業はまずは管理者または事業主が自ら行う(スタッフに押し付けてはダメ)
  • 名刺のほかにA4用紙1枚の「うちの特徴」チラシを用意する

ということです。

営業の鉄則は「効果が高いところから回る」です。だから最初に病院に出向くのです。病院はいま、早期退院の動きが強まっています。病院側が「この患者さんは訪問看護サービスが決まれば退院できるのになあ」と考えているときに営業をかければ、「ちょうど良かった。いまこういう患者さんがいて…」とその場で患者面接まで進むこともあります。

病院の営業先は「地域医療連携室」が王道ですが、実は「裏口」もあります。それは病棟の看護師長です。もちろん相当強いコネがなければ看護師長のアポは取れません。しかし一度人脈を作ってしまえば競争相手はいなくなります。

というのも、病棟の看護師長こそが、病院経営者から「早く退院させろプレッシャー」を受けているからです。看護師長の中には「地域医療連携室を介入させずに、直接訪問看護ステーションに相談したい」という人もいます。

病院への営業で注意する点は、その病院でも訪問看護を行っていることがあることです。しかし訪問看護ステーションを持つ病院が営業NGなのではありません。それどころか、病院の訪問看護ステーションも有望な営業先になります。それは訪問先を抱え過ぎたときに「外注」に出すことがあるからです。病院の訪問看護ステーションは報酬が高い重症の在宅患者を持ちたがるので、報酬が低い軽症の在宅患者を回してくれることがあります。営業の原則その2は「営業先様のお役に立つこと」です。

診療所は医者にアタックを

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地域の基幹病院を一巡できたら、次は診療所に営業に行きましょう。診療所には「ベテラン看護師」と「事務長」の2つの壁があります。この2人にアタックしているだけでは、営業としては弱いでしょう。なんとか医師、つまり院長先生に会ってください。

ただ事務長が「院長への要件は私が承ります」と言っているのに、「いや院長と直接話したい」と言ってしまっては出入り禁止になりかねません。まずは事務長に気に入られましょう。

事務長が気に入る訪問看護ステーションは、難しい患者の対応をしてくれるところです。そこで「どんな困難事例でも対応できます」とPRして、まずは「1件」を獲得してください。

1件獲得できたら、あとは頻繁な報告をすればいいだけです。訪問看護ステーション管理者は事務長に「先日紹介していただいた患者さんについて、院長先生にご報告したいことがあります。込み入った事情がありますので、直接会ってお話ししたいのですが」と言いましょう。こうして院長の時間をゲットできたら、その面談の最後は必ず「いま困っている在宅の患者さんはいませんか?」と尋ねましょう。常に「次につなげる営業」を心掛けてください。営業の鉄則その3は「営業は連続している」です。

介護への営業って誰に会って何を話したらいいの?

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介護系の営業先は次の3つです。

  • 居宅介護支援事業所(ケアマネの事業所です)
  • 介護老人保健施設(いわゆる老健です)
  • 地域包括支援センター

このうち老健は、施設内に看護師がいますので「営業トーク」は注意してください。老健に訪問看護師を派遣するのではなく、「入居者さんが老健から自宅に戻るときは、うちを役立ててください」とPRしましょう。

しかし介護系で最初に押さえておかなければならないのはケアマネです。

実際の訪問看護サービスは、医師の指示によってスタートしますが、ケアマネはケアプランの中に訪問看護サービスを盛り込むかどうか提案することができます。ケアマネへの営業で効果的なのは「在宅医療に関する全てをお任せください」というPRです。

ケアマネの中には看護師出身者もいますが、ほとんどは介護現場からの叩き上げです。また「介護の司令塔は私たち」というプライドも持っています。しかし唯一の弱点が「医療の知識」です。医師との会話が苦手なケアマネも少なくありません。

ケアマネへのアプローチで生きてくるのが、訪問看護ステーション管理者がこれまでに築いてきた病院と診療所との人脈です。だから営業の順番は、病院→診療所→介護なのです。病院の看護師長や診療所の院長と携帯電話で話せる訪問看護ステーション管理者は、ケアマネの絶大な信頼を勝ち取ることができるでしょう。

「営業しない時代」が終わる前に

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訪問看護ステーション管理者が「私は医療者、そして看護師」と強く思いすぎていると、営業に向かう足が重くなります。「エイギョウ」という言葉に含まれる「下手に出る」「商売人」「仕事をもらいにいく」という負のニュアンスが、いたたまれなく感じる管理者もいらっしゃるでしょう。

しかし「今」の訪問看護ステーションの営業は、まだ「そこまで大変な営業」には達していません。「うちもやっとターミナルケアを始めました」「24時間対応体制を申請しました」といった業務紹介だけで、十分営業になります。

しかしあと数年もすると、在宅患者獲得のための「ザ・営業」を行わなければならなくなるでしょう。そういった意味でも「今」から営業を開始して人脈を作ってしまった方が「楽」なのです。

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