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訪問看護ステーションが「利益」を上昇させ続けることは、とても難しいでしょう。深夜看護や長時間業務には報酬の「加算」があり「売り上げ」をアップさせることはできますが、そのような勤務をスタッフに要求するには給料を上げなければならず、事業所に残るおカネはなかなか増えません。

そこで管理者に取り組んでいただきたいことは、利益を「減らさない」工夫です。

准看業務は10%下がることを意識した採用と給料体系が必要

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准看護師も訪問看護ステーションで働くことはできますが、管理者は准看護師の仕事は「減算」されることを覚えておきましょう。「減算」とは、報酬が減らされる処置のことです。 例えば、患者宅で30分未満の訪問看護サービスを提供する場合、看護師(いわゆる正看護師のこと)が行うと、事業所の売り上げは約4,600円になりますが、これを准看護師が行うと10%減の約4,100円になってしまうのです。

同じ利用者に同じ看護を提供しても、看護師と准看護師では介護報酬に約500円もの差が付いてしまうのです。管理者は看護スタッフを採用するときに免許を確認すると思いますが、そのときに「10%減算」について意識しておくことは重要です。免許の違いは給与体系に大きく影響するからです。

管理者は給料体系について明確な方針をもっておくことが必要です。「介護報酬が異なるのだから看護師と准看護師の給料に差を付ける」のか「報酬が異なっても業務内容はほとんど同じなので給料に差は付けない」のかを決めておき、全スタッフがこのことを知っていることが望ましいです。

というのは、給料に差を付けると准看護師のモチベーションが上がりませんし、差を付けないと正看護師の仕事意欲に影響が出かねない、という「あちらを立てればこちらが立たず」の関係があるからです。ここらへんのことをあいまいにして給料体系にブレが生じると、職場内に大きな溝を作ることになりかねません。

理想の給与体系のひとつは、入社時点では正看と准看の給料に差があるものの、成績次第で准看が正看の給与を上回ることが可能な制度です。

「同一建物だと下がる」ってどういうこと? どういうとき?

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管理者が気を付ける「減算その2」は、「集合住宅減算」です。「同一建物内減算」「同一敷地内減算」と呼ばれることもあります。2015年からルールが大きく変更になっていますので、注意してください。

集合住宅減算の趣旨は、同じ集合住宅に住んでいる複数の利用者に訪問看護サービスを提供する場合、移動の手間が大幅に減るので報酬を下げよう、というものです。集合住宅とは、養護老人ホーム、軽費老人ホーム、有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅のことです。減算額は10%です。

このルールが複雑なのは、状況によって減算される場合とされない場合があることです。

訪問看護ステーションが集合住宅の建物内にあったり、訪問看護ステーションと集合住宅が近くにあったりすると、利用者が1名でも10%減算されます。

訪問看護ステーションと集合住宅が遠く離れている場合は、その集合住宅内の訪問看護の利用者が20人以上になったら10%減算されます。

ここにも「移動のための労力」が報酬に影響していることが分かります。

それでは、後者の「訪問看護ステーションと集合住宅が遠く離れている場合」をみてみます。利用者全員に30分未満の訪問看護サービスを提供したとします。1回の報酬は約4,600円ですので、利用者が19人の場合、87,400円となります。計算は「19×4,600」となります。

ところが20人に増えてしまうと、10%減算となって82,800円になってしまうのです。計算は「(20×4,600)×90%」となります。

つまり、お客さんが増えて仕事が増えているのに売り上げが減るという逆転現象が生じるのです。22人にならないと、19人のときの売り上げを超えることができません。このことは、訪問看護ステーションの営業方針に大きく関わってくるので、管理者は頭の中に入れておいてください。

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OT、PT、STの業務単価を知っておこう

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介護保険制度には「訪問リハビリステーション」という事業所もあるのですが、訪問看護ステーションもリハビリを提供することができます。看護師や准看護師がリハビリを提供することもできますし、訪問看護ステーションが理学療法士、作業療法士、言語聴覚士を採用しリハビリを提供することもできます。

「看護師が行うリハビリ」と「OT、PT、STが行うリハビリ」は「報酬」と「単位時間」が異なります。管理者は、「どの職種にリハビリ業務をさせるかで売り上げが変わる」ことを知っておかなければなりません。

 准看護師がリハビリを行うと、看護師(いわゆる正看護師)が行ったときの報酬より10%減額されます。また、看護職は30分単位で時間が増えていきますが、OT、PT、STは20分単位です。

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★印をご覧ください。「看護師による30分未満リハビリ」は約4,600円ですので、「OT、PT、STによる20分リハビリ」より約1,600円も高いのです。しかし「60分程度」のリハビリになると、看護師リハビリもOT、PT、STリハビリも約8,000円とあまり変わらなくなります。

どの職種を訪問させるかは医師が決め訪問看護ステーションに指示しますが、医師が訪問看護ステーションに誰を訪問させたらいいのか相談することもあります。そのとき管理者は適材適所を原則としながら、上記の表を思い浮かべる必要があるかもしれません。

加算の取りこぼしは後からじんわり「痛む」

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「減算」はやむを得ない場合がありますし、職種による報酬の違いも管理者が関与できる余地は少ないでしょう。

しかし、「加算の取りこぼし」は「避けられる減算」といえます。加算を取る態勢を整えることは簡単ではありませんし、加算より人件費が上回ることもありますが、それでもなお、管理者は加算を熟知しておいた方がよいでしょう。

というのは、例えば気がきく看護スタッフが、独自の判断で過剰なサービスをしてしまっていることがあるからです。「独自判断の過剰なサービス」を、その訪問看護ステーションの「通常業務」にしてしまえば、役所に「加算申請」をするだけで増収が期待できるのです。

また加算に詳しくなると、管理者はスタッフに対し「みんなに新たにこういう業務をやってもらうと、利用者に喜ばれ、売り上げもこれだけアップします。増収分は給料に反映させたいと考えていますが、いかがでしょうか」という提案ができるようになります。このような提案は、訪問看護ステーション全体のレベルを向上させるでしょう。またスタッフの給料が上がるとモチベーションが高まり、それがさらに訪問看護ステーションのレベルを上げる――という好循環につながるのです。

「上げる」は「下げない」と同義語

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工業製品を作っているメーカーでは「売り上げを10%伸ばすことは大変だが、10%のコストダウンはやる気次第」とよく言われています。訪問看護ステーションでも同じことがいえます。

困っている人を助ける訪問看護の世界では、「ただ働き」を美徳とするスタッフは少なくありません。しかし「方針なき無料サービス」は実は利用者の混乱させることもあります。「いただくおカネはきちんといただく」ことによって、高齢者の信頼を得られることもあるのです。

「売り上げを上げる」ためには、まずは「売り上げを下げない」ことを目指しましょう。そのためには「減算の回避」と「加算取りこぼしの回避」の「2つの回避」が必要になります。

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