
訪問看護の業務をする上で、連携しなければ成立しないほど、繋がりの深い他職種もあれば、直接連携を取っていなくても患者様を通して何かしら関連している職種もあります。
いずれにしろ、在宅療養をされている患者様がより快適に毎日を送って頂くためには訪問看護師だけでは成り立ちません。 とはいえ、それぞれの職種の方の中にもいろいろな方がいらっしゃいます。
ここでは、そんな方との連携の中で起こった困ったお話をしたいと思います。
目次
ケアマネさん、忙しいのは判りますが

ケアマネさんは訪問看護師にとって最も連携を取らなければならない職種の1つです。
訪問予定の振り替えやキャンセル、状態変化に伴うケア内容の変更、休日訪問の依頼、ご家族の状況の変化など、介護サービスに関する情報はケアマネさんに逐一報告しなくてなりません。 そんなケアマネさん中にも、ちょっと付き合いづらい方がいらっしゃいました。
ある日、患者様宅から「時間なのに来られないんですけど」と電話がありました。 「今日は訪問の日じゃないんだけどな」と思いながら聞いていると 「先週、受診でお休みだった分、今日も訪問ってケアマネさんから言われたんですけど」という事で 「しまった!連絡ミス?」と慌てて飛んで行きました。
でも後で聞いたら誰もそんな連絡は受けていなかったので、ケアマネさんに確認の電話をしたのです。そしたら 「結局行ったんでしょ?貴方達の方が患者さんのところによく行くんだから、訪問日は貴方達がちゃんと把握しておいてよ。何でも私に頼らないで」と怒鳴るように言われ、電話を切られました。 頼る?サービス計画表には追加の記載が無いのにどうしろと? 患者さまとケアマネで、訪問日の追加を決めたのに、それを私達に教えてくれないのは何故?
彼女は、患者様には優しく、スタッフには厳しい事で有名なケアマネさんだそうです。 機嫌の悪い時には言葉を選ばないと逆切れするとか。早く教えて欲しかったです。
誤解の無いように言っておきますが、これはホントに稀な例で、ほとんどのケアマネさんは優しくて真面目です。
主治医との賢い付き合い方

私のいた事業所は病院の付属施設では無いので複数の開業医の先生から指示書を頂いて活動していました。 指示書1枚の有効期間は最長6カ月なのですが、文書料は1カ月と変わらないので、料金的な意味もあってほとんどの先生は1カ月毎に指示書を出されていました。
主治医を引き受けてくださる先生の性格は様々で指示書を毎月期日までに出して下さる先生、手書きの指示が達筆過ぎて読めない先生、やたら小さな文字でびっしり書いて下さる先生等いろいろでした。
困るのは指示書をなかなか書いて下さらない先生。何度も請求するのも気がひけるので、頃あいを見計らって言葉を選んでお願いします。短気な先生のところへは、患者様の報告に伺うのも怖かったです。何が地雷か判らないし。気弱で決断力に欠ける先生には、いくつか提案をして相談するという形を取っていました。
それでも、なんだかんだと長くお付き合いしているうちに気心が知れてきて、良い関係が築けるようになるようです。
ヘルパーさんはスーパーウーマン

在宅療養中の患者様にとって、もっとも身近で頼りにされているのはヘルパーさんではないでしょうか。 訪問看護より、訪問回数が多く、医療者には言えない愚痴や本音も言えるようですし、家事や身の回りの事、話し相手になる事によって、患者様やご家族との距離がとても近いと感じます。 それだけに訪問看護師もヘルパーさんから得られる情報は大事にしていきたいと思っています。
けれども、ヘルパーさんの中には、自分は誰より患者様の事をよく理解しているという自負からか、見下すような態度を取る方がごく稀にいらっしゃいます。
訪問看護を初めて間もない頃、新人と知ると、いきなりケアのレクチャーを始めた方がいらっしゃいました。彼女には悪気は無く、自分が指導してあげなきゃという使命感に燃えていたように思いますが、ちょっとびっくりしてしまいました。 とはいえ、他人の家で家事とケアの両方ができるヘルパーさんは凄いと思います。
デイサービスさん、頼りにしています

訪問看護を利用される患者様の中には、デイサービスを利用されている方が多くいらっしゃいます。
デイサービスでは入浴やリハビリ等、必要なケアをして貰えるだけでなく、同年代の方との交流やご家族の休息の時間を確保できるという利点があり、在宅療養者にはとても良いシステムだと思います。
訪問看護で伺う頻度は週1~2回という方がほとんどです。前回の訪問から今回までの状況を知りたくても、訪問時はご家族が不在という家も少なくありません。そんな時に頼りになるのは他の職種の方が書いた記録物です。ヘルパーさんも、オムツ交換の際の排泄状況とか、行った身体のケアの内容は書いて下さるのですが、デイサービスではバイタルをはじめ、身体的な状況からレクリェーションでの表情等、内面的な事にも触れて記録してくださるのでとても助かります。また、内服や貼用薬等、ご家族が確実に投与できているか不安がある場合でも、デイサービスでは確実にして貰えるという安心感があります。
唯一、困った例をお話しますと・・・
あるお宅で、病状から定期的に体重測定をする必要のある患者さまがいらしたのですが、ふらつきの強い方で、1人で体重を測るのはとても困難でした。そこでデイサービスでの体重測定を依頼したのですが、なかなか応じて頂けませんでした。後で聞いたところによると、そのデイサービスでは、車いす用の体重測定器を扱えるスタッフが限られていて、すぐには応じられなかったそうです。デイサービスによっては応じられるサービスが微妙に違う事を初めて知りました。
訪問看護は様々な他職種の連携によって支えられています

今回、ここにあげた以外にも、訪問入浴、ST、OT、PT等リハビリ関係、医療用具取り扱い業者、薬局等、関連した他職種はたくさんあります。これらの関連する他職種の方とは、普段は顔を合わせる事はほとんどありません。
ケアマネさんが開催される担当者会議で、初めて顔を合わせる事がほとんどです。その会議では、それぞれの立場から患者様についての情報を交換したり、提案をしたりするのですが、他職種の方の意見が凄く新鮮で貴重なお話だったりします。
それぞれ立場の違いから意見の食い違いもありますがお互い協力しあって良い関係を築けていけたらと思います。