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訪問看護ステーションは看護師が最低2.5人いれば開設できる、ということを知っている人はたくさんいると思います。しかし「2.5人」について「2人と0.5人なので計3人が存在する」と理解している人はいませんか? それは間違っていませんが、正しくはありません。

常勤換算ってなんかややこしい」と感じている管理者もいると思いますが、なぜ理解しづらいかというと、これは労働法の話になるからです。

しかし労働法と聞いて尻込みする必要がまったくありません。ごくごく基本的なことさえ押さえておけばOKです。

「0.5人」とか「0.3人」ってどうして「1人」じゃないの?

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まず知っておかなければならないことは、「常勤換算人数は、人間の数を数えていない」ということです。このことを理解しておかないと、以下の説明がちんぷんかんぷんになってしまうのでしっかり押さえておきましょう。では常勤換算人数は何を数えているかというと「労働時間」を数えているのです。

もし「この訪問看護ステーションには何人のスタッフが働いているのですか?」と聞かれた場合、「人間の数」を答えればOKです。

しかし「常勤換算した看護師は何人ですか?」と聞かれた場合、「労働時間数に換算した人数」を数えなければならないので、仮に訪問看護ステーションに5人が勤務していたとしても、答えは「4.3人」になることも「3.5人」になることもあるのです。

もうひとつ注意があります。それは「パート看護師だから0.5人になるわけではない」ということです。正職員と同じ時間働いていれば、パート看護師でも「常勤換算1人」と数えます。「常勤換算人数」には、働き方や給与体系は関係ありません。関係するのは労働時間「だけ」なのです。もちろん、正職員の看護師は「常勤換算1人」です。まとめると、こうなります。

●常勤換算人数は労働時間で数えた人数なので、実際に存在する人数より少なくなることがある

●常勤換算人数を計算するときは、正社員もパートも関係ない。関係するのは労働時間だけ

法定労働時間とか所定労働時間って何? 働いた時間って何?

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この章は、少し専門性が高いかもしれないので、飛ばしてもOKです。ただそれほど難しい内容ではありませんし、「労務管理をしっかりやりたい」と考えている管理者は、この機会に知っておいた方がいいかもしれません。

さきほど「正職員の看護師の労働時間」という言葉を使いましたが、そもそも「労働時間」とはなんでしょうか。

「労働時間」には「法定労働時間」と「所定労働時間」があります。法定労働時間は法律で定められた労働時間のことで「1日8時間、週40時間」になっています。さまざまな例外はあるのですが、原則、日本の経営者は労働者を「1日8時間、週40時間」以上働かせてはいけないのです。

一方、所定労働時間とは、それぞれの会社で決める労働時間のことです。ただ法定労働時間を上回ることは許されません。ですので、訪問看護ステーションを含むほとんどの事業所や会社は、「所定労働時間=法定労働時間=1日8時間、週40時間」に設定しています。 ただまれに、「うちの社員は効率的に働いてくれるので、所定労働時間を1日7時間、週35時間にしよう」という優良事業所も存在する、ということです。

実際に常勤換算人数を算出してみよう

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それでは実際に常勤換算人数を算出してみましょう。

A訪問看護ステーションは、正職員の看護師の所定労働時間が1日8時間、週40時間だとします。

B訪問看護ステーションは、正職員の看護師の所定労働時間が1日7時間、週35時間だとします。

職員構成はAもBも「正職員の看護師3名」と「1日4時間、週3日出勤、週12時間勤務のパート1名」だったとします。

この場合、Aの常勤換算人数は3.30人、Bの常勤換算人数は3.34人となります。

同じ職員構成で、パートの労働時間が同じでも、所定労働時間によって常勤換算数は違ってくるのです。計算方法は以下の通りです。

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別のケースを考えてみましょう。

C訪問看護ステーションもD訪問看護ステーションも、正職員の看護師の所定労働時間が1日8時間、週40時間だとします。しかし構成員が異なります。

C訪問看護ステーションは、正職員3名、週20時間パート1名です。

D訪問看護ステーションは、正職員2名、週20時間パート3名です。

この場合、CもDも常勤換算人数は3.50人で同じです。計算方法は以下の通りです。

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スタッフの人数ではCは4人、Dは5人と異なるのですが、常勤換算人数はいずれも3.50人になるのです。これは、CとDの「スタッフ全員の労働時間が同じ」だからです。

兼務はどこまで許されているの? 管理者もOKなの?

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「常勤換算」と密接に関係するのが「兼務」です。兼務をしている場合、常勤換算が減る、と覚えておきましょう。

問題になるのが、管理者の兼務です。訪問看護ステーションの管理者は、居宅介護支援事業所の管理者を兼務できます。ただ兼務をすると「常勤換算」は減ります。どれくらい減るかというと、「労働時間」分です。これも例でみてみましょう。

正職員の労働時間が1日8時間、週40時間の訪問看護ステーションがあり、ここの管理者が居宅介護支援事業所で週20時間分の仕事をしていたとします。そのときの「訪問看護ステーションの管理者」としての常勤換算人数は0.5人となってしまいます。

一方で、「訪問看護ステーションの管理者の業務」と「現場の訪問看護業務」は区別がありません。つまり管理者が、管理者としての業務と現場の業務の両方を行っても、「常勤換算人数」は減りません。

ただ、管理者が現場の訪問看護業務ばかりに専念して、ほとんど事務所におらず、管理業務や緊急事態の対応を行えない状態は、望ましくないとされています。

「やばい2.5人を切りそう!」保健所に相談して大丈夫?

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訪問看護ステーションは、最低、常勤換算人数2.5人で開設できます。実際に正職員の看護師2名と、毎日半日パート看護師1名で運営している訪問看護ステーションも存在します。 このような状態だと、誰か1名が退職したり、パート看護師が「勤務時間を減らしてほしい」となった場合、常勤換算人数は2.5人を下回ってしまいます。

もし2.5人を下回ったら訪問看護の仕事を行うことはできません。訪問看護ステーションを閉鎖するか、または休止しなければなりません。「退職しそう」「パートの勤務時間が減りそう」という段階で、保健所に相談することをおすすめします。

もちろん保健所は「閉鎖または休止届けを出してください」と要請するでしょう。しかし「一時期2.5人を割りこむが、数カ月以内に看護師を採用できる」と考え、「2.5人未満の訪問看護ステーション」を運営した場合、「不正受給」になり大きなペナルティを受けることになります。

「労務」を知ろう

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「ブラック企業」は従業員を不当に酷使する会社のことですが、言葉を換えると「労務管理がめちゃめちゃな企業」のことなのです。労務管理には、「従業員を適切に働かせること」と「従業員に健全に働いてもらうこと」の2つの仕事がありますが、後者が手薄になることが多いようです。

「常勤換算」や「兼務」について知っておくことは、労務管理の一部です。ところが訪問看護ステーションの管理者が「労務」について知らなくても、実はあまり大きな問題になっていません。それは訪問看護業界には「頑張っちゃうスタッフ」が多いからだと思います。訪問看護ステーションの経営者や管理者がスタッフに甘えている状態です。しかし、労務管理がおろそかな事業所のスタッフは「働きにくい」と感じているはずです。

競争激化が著しい訪問看護業界で生き残るには、今後「労務管理」はますます重要になるでしょう。

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