みなさんは『訪問看護アクションプラン2025』という言葉を聞いたことはありますか?
これは、訪問看護を担当する事業者・事業所・職員が取り組むべき事項について、2025年に向けて訪問看護が目指す姿とその達成に向けたアクションプランを示した指針になります。
公益社団法人日本看護協会・公益財団法人日本訪問看護財団・一般社団法人全国訪問看護事業協会という3つの協会や財団が協力して作り出したもので、今後の社会の動向医療政策を見据えて具体的にどう事業を実践すべきなのかの指針となる重要なものです。

今回は各項目で『訪問看護アクションプラン2025』に記載されている内容について、簡単にわかりやすく説明していきます。

高まる訪問看護のニーズ!!はたしてどんな背景があるのか

総務省統計局HPより

みなさんは、『2025年問題』という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
あとわずか7年で、戦後の世代として最も人口の多い団塊の世代が全員75歳以上となります。
これによって日本は、5人に一人が75歳以上、そして3人に一人が65歳以上という、かつて経験したことのない、超高齢社会に突入します。
この超高齢化に伴って慢性疾患や複数の持病をかかえる人が増えてくると、社会保障などの医療政策のなかでも重要な課題となってくるものが『持続可能な医療・介護の制度設計』です。

これまで日本の医療が目指してきたのは、病院が入院患者に対して短期的に集中した治療を行って、回復させ、社会復帰させるというものでした。しかし、高齢化によって慢性疾患や複数の持病を抱える人が増えてきます。どうやって在宅医療を充実させられるのか?そこが大きな課題となっているわけです。

そこで、医療介護政策の中でもとりわけ重要なのは在宅ケアの基盤整備であり、団塊の世代が後期高齢者となり高齢化率が30%を超える2025年までに残された時間は多くありません。

数字で見る!訪問看護の現状

訪問看護アクションプラン2025より

これから訪問看護の需要が高まってくるということですが、現状は施設数や職員数はどのくらいで、それは十分な数を確保できていると言えるのでしょうか?
そこで、2017年の時点での訪問看護の現状を数字を見ていきたいと思います。

まずは、訪問看護ステーションの数について。上の図表4を見てみると、介護保険がスタートした平成12年まで一気に増えて、それから増減を繰り返しながらも平成24年以降は急増しており、平成26年4月現在約7,400か所です。  

また図表5を見てみると、人口10万人当たりの都道府県別訪問看護ステーション数は全国平均は7.0であり、各都道府県によって数にばらつきがあることが分かります。つまり、まだまだ地域によって偏在があるため、訪問看護師数も十分とは言えません。在宅・地域で療養生活をおくっている利用者を支え る訪問看護サービスは、高まる需要に応えきれていないのが実情なのです。 
特にこのグラフで顕著なのが、おもに西日本では全国平均の7.0を上回っている箇所が多いのに比べて、東北をはじめとする東日本では全国平均を下回っている箇所が多いことです。
これは、各都道府県の10万人当たりの看護師数も西高東低となっており、この数字とも相関がありそうです。(参考資料:厚生労働省HPより) 

訪問看護アクションプラン2025より

また、訪問看護ステーションの数の増加に伴って、訪問看護師数も増加傾向にあります。
これは上の図表7に示したとおりです。
ちなみに、訪問看護ステーション1施設あたり何人の訪問看護師が所属しているかというと、平成25年度のデータで単純計算して平均5.7人。実際は、図表6に示したように訪問看護ステーションの常勤換算従業者数は3〜5人の施設が一番多いようです。
つまり小規模事業所が多く、期待される役割を十分に果たすことが困難な状況と考えられます。

では、次に訪問看護利用者数はどのように変化しているのでしょうか。

 

訪問看護アクションプラン2025より

 

図表2を見てみると、訪問看護の利用者数は平成24年以降で急増しており、図表4の訪問看護ステーション数と同じような伸び方になっています。
また、現状で訪問看護利用者の内訳としては要介護5が最も多くなっており、利用者は重度化・多様化・複雑化してきています。
具体的には、がん末期患者や人工呼吸器の装着者、 チューブ類を使用して生活する人など、医療ニーズ の高い利用者が増えています(図表3)。そして、重度の障がいのある小児や精神障がいがある在宅生活者、 認知症の人など多様化してきていることも最近の特徴です。

さらに、一人暮らしや高齢者世帯、老老介護、認認介護など家族介護基盤の弱体化も加わり、複雑化した多問題を有する利用者が少なくない状況となっています。

2025年に向けて訪問看護がめざす姿

訪問看護アクションプラン2025より

訪問看護に求められる使命は多々ありますが、その中でも特に重要な課題は、「日本全国どこでも24時間365日、いつでも必要な質の高い訪問看護サービスを届ける仕組みをつくること」です。
そのために、2025年に向かって訪問看護事業所の目指すべき方向の一つは、多機能化・大規模化。また今後、医療ニーズが高い方や住み慣れた場所でのターミナルケアを望む方が地域で暮らし続けられるように、 地域包括ケアシステムを構築する必要があります。 その構築には、自宅を訪問する「訪問看護」や「定期 巡回・随時対応サービス」にとどまらず、「看護小規模多機能型居宅 介護」など日帰りサービスや宿泊サービ ス等も含めて、地域で暮らし続けることを支援する看護サービス全般を視野に入れ、その推進に力を注ぐことが必要です。
果たしてこれらの目標のために、訪問看護ステーションに求められる体制とはどういったものなのでしょうか?

上記の状況を踏まえて実際2025年に向けてどのようなアクションが求められるのか以下に列挙していきます。大きく分けて、アクションの指針は4つ提示されています。

2025年に向けたアクションプラン①

1)訪問看護事業所の全国的な整備
●全国どこでも、必要な時に訪問看護サービスを提供できるように、地域偏在をなくす。
●必要な時には、24時間365日訪問看護サービスを十分提供できるように、地域全体を視野に入れて、 訪問看護サービスを提供する体制を整備する。
●訪問看護サービスを安定的に提供するために、小規模な訪問看護事業所の役割を尊重しつつ、訪問看護事業所の規模を拡大する。

2) 訪問看護師の安定的な確保をめざすために、以下のような目標が挙げられます。
●訪問看護師数を、2025年までに現在の3倍程度の約15万人に増やす。
●新卒看護師が訪問看護師を目指すことができる教育モデルを確立する。
●訪問看護師が安心して訪問看護の仕事に従事できるように、待遇改善に向けた活動や、働きやすい職場づくりに取り組む。

3)医療機関と訪問看護ステーションの看護師の相互育成
●医療機関から地域・在宅へスムーズに療養の場を移行できるよう、医療機関と訪問看護ステーションの人的交流、出向、長期研修等の人材育成システムをつくる。
●医療機関からの訪問看護がより良く提供されるよう、医療機関の看護師が訪問看護ステーションと交流や学習し合える機会を増やす。

2025年に向けたアクションプラン②

1)訪問看護の提供の場の拡大
●介護施設やグループホームの入所・入居者でも訪問看護が必要な人にも、訪問看護を受けられるようにする。
●学校・作業所で訪問看護が必要な人にも、訪問看護を受けられるようにする。

2) 訪問看護事業所の機能の拡大
●24時間体制、重症度の高い利用者の受入れや看取りへの対応、住民や他機関への情報提供や相談機能を持つ「機能強化型訪問看護ステーション」を二次医療圏ごとに少なくとも1か所以上設置することを目標とする。
●重症心身障がい児から要介護者に対応する療養通所介護サービスを増やす。
●市町村が実施する障がい児・者に対する事業に対応する。
●住民に身近な場所で、予防活動や相談活動を提供する。
●在宅における医療・介護に関する情報の集約・発信拠点となる。

3) 看護小規模多機能型居宅介護の拡充
●「訪問」「通い」「泊まり」の機能を持つ看護小規模多機能型居宅介護を全市町村に1か所以上設置することを目標とする。

4) 訪問看護業務の効率化
●ICTを活用し、地域内の多機関・多職種との情報共有を効率化する。
●ICT化による業務効率化を進めて記録等にかかる時間を短縮させ、訪問看護に専念できる体制をつくる。

2025年に向けたアクションプラン③

1)健康の維持・回復、生活や穏やかな人生の最終段階を支える視点 を持つ専門家の育成
●健康上のニーズを適切に判断し、日常生活のケアや緩和ケア、必要な医療処置などを行う看護の専門性を活かした人材を育成する。
●慢性疾患の重症化防止や日常生活を支える視点を持つ専門家を育成する。
●次のような人に十分対応できるようにする。
・在宅ターミナルケア
・緩和ケアを必要とする人
・認知症のある人
・うつ、統合失調症などの疾患がある人
・重度心身障がい児やNICUからの退院児
・医療機関から退院する利用者や家族
●在宅ケアに従事する認定看護師・専門看護師を増やす。
●訪問看護師が、適切な判断力を身につけ、特定行為※についても安全に実施するために、必要な研修を受講できる体制を整備する。
※「特定行為」とは、褥瘡・慢性創傷における血流のない壊死組織の除去、胃ろう・腸ろうチューブ、胃ろうボタンの交換等の38行為が厚生労働省令により定められている。

2) 看護の専門性を発揮して多職種と協働
●多職種と円滑なチームを組むことのできる訪問看護師を育成する。
●多職種と協働して質の高いケアを提供できるよう、多職種とともに学び、考える場をつくる。

3)訪問看護ステーション管理者のマネジメント力の向上
●管理者として必要な知識・能力を系統的に習得できるよう、管理者研修を充実し、管理者のマネジ メント力を向上させる。
●機能の拡大した訪問看護事業所を管理できる管理者を育成する。
●管理者の経営力を向上させ、訪問看護事業を取り巻く社会環境の変化に対して、迅速に対応できるようにする。

4)看護基礎教育への対応強化
●対象者の生活や地域を含めた視点に立った基礎教育の充実のために、教育機関等との協力体制を強化する。
●訪問看護ステーションにおける在宅看護論の実習指導者の配置人数を増やし、看護学生への指導力を向上する。

2025年に向けたアクションプラン④

1)国民ヘの訪問看護の周知
●国民、地域住民に、訪問看護の機能・役割などについて、情報発信をし、国民の理解を得るよう努力する。 

2) 地域包括ケアシステムの構築
●地域の多職種連携の牽引力となり、地域ネットワークづくりを推進する。
●地域住民のニーズに応じた新しい地域包括ケアシステムの創造に貢献する。
●市町村等の様々な事業や会議に積極的に参加し、必要な役割を果たす。

3) 地域での生活を包括的に支援する訪問看護ステーションの機能強化
●在宅で暮らす高齢者等の重度化に対応するために、訪問看護ステーションと看護小規模多機能型居宅介護等と協働し、多機能で、多職種が連携したケアを提供する取り組みを強化する。

4) 訪問看護の立場からの政策提言
●介護保険事業計画、地域医療計画(特に在宅)等の自治体の計画策定プロセスに参加し、訪問看護の立場からの政策提言を行う。
●住民のニーズや社会情勢に応じて、またアクションプラン実現のために必要な政策提言をする。
●多機関・多職種との連携を通じて、地域住民のニーズを捉え、地域の特性にあった政策提言を行う。

まとめ

訪問看護アクションプラン2025について上記では詳しく掲載しました。ひとつひとつの内容を理解して実行していくのは、なかなか骨の折れることだと思います。
4つの指針が目指すところをざっくりまとめると、訪問看護全体のチカラを質的にも量的にも底上げしていき、さらに地域包括ケアシステムを通してより訪問看護を身近なものとして位置づけ、地域との連携を強固なものとする、そういった流れになります。

また、2018年には診療情報・介護報酬改定が予定されており、医療と介護のより密な連携が求められる内容となってきます。このような背景も踏まえて、今後の訪問看護ステーションのあり方を見直すことも今後重要な課題となってくるでしょう。

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