2018年4月に迎える診療報酬改定は、6年に一度である介護報酬とのW改正となっており、特に注目を集めています。

診療報酬と介護報酬の改定により、病院や訪問看護ステーションにとっては経営方針を改めて考え直す大きな機会となります。今回は、退院調整から訪問看護までの流れで改定される診療報酬の一部をまとめました。

「退院支援加算」が変わる?「入退院支援加算」と改称

以前、退院支援や退院調整に関わる診療報酬についてはこちらの記事で紹介しました。
前回の記事では、入院後すぐに(具体的には3日以内)退院支援の必要性をスクリーニングして退院調整を行うことが診療報酬算定の要件であると説明しました。
これは、「早期の退院支援の介入で在院日数をできるだけ減らして、在宅へ移行することで医療費を削減する」といった政府の意向が反映されたものです。

では、2018年の診療報酬改定では退院支援に関してどのように変わっていくのでしょうか?
驚くことに、退院支援をなんと入院前から行うという方針になっているのです。
もちろん、入院といっても緊急入院のように予定外での入院もありますので、対象となるのは予定入院。
外来での通院から、手術や化学療法などの各目的でこの日に入院するといった予定があらかじめ組まれる患者さんにとっては、入院前の時点で退院後の生活をある程度予想することができます。

そこで、これまでは入院直後に行っていた退院支援を入院前に前倒しにすることによって、在宅や施設などの地域との連携をよりスムーズに、時間的にも余裕をもって行うことができるのです。

今回新たに改変される「入退院支援加算」は、地域との連携をよりスムーズに行うことに対する評価を報酬として還元する形で改定となりました。

病院と訪問看護ステーションの連携の強化が期待される!?

また、在院日数の短縮に加えて国の医療政策としては、2025年時点の病床数を現在よりも16万~20万床減らす目標を示しました。手厚い医療を必要としていない30万~34万人を自宅や介護施設での治療に切り替えて、高齢化で増え続ける医療費を抑えるためです。

それに伴って、今後はさらに在宅医療や介護の需要が拡大していき、その受け皿としての訪問診療や訪問看護の増加が必要となってきます。
そのため、病院と訪問看護ステーションの連携はより重要なものとなるでしょう。
今回の診療報酬改定では、

①退院に向けた医療機関等と訪問看護ステーションの共同指導や連携に関する評価を充実させる。また、共同指導等の連携に関する評価について、 特別の関係にある関係機関が連携する場合の取扱いを見直す。

② 患者が在宅から療養場所を変更する際に、患者に合わせた療養生活の支 援が継続されるよう、医療機関が訪問看護ステーションと連携して医療機関等に情報提供を行う場合を評価する。

(厚生労働省HPより)

と記載されています。①にある「共同指導」については、こちらの記事で「退院時共同指導料」として紹介しました。
退院支援で欠かせないのが、多職種が参加する『退院支援カンファレンス』ですね。
この退院支援カンファレンスの際に算定される『退院時共同指導加算2』において、「医師及び看護職員以外の医療従事者が共同指導する場合も評価対象となるように見直す」とされています。
これによって、医師・看護師以外の理学療法士・薬剤師・言語聴覚士・社会福祉士などの職種との連携の強化を評価するわけです。

診療情報提供料の幅が広がる!?

上記では、退院支援に関して多職種での退院カンファレンスを行うことで退院時共同指導料がが算定されると述べました。ほかにも退院支援に関する診療報酬として『診療情報提供料』があります。診療情報とは、患者さんが転院したり退院後に在宅医療に移行するとき、入院していた病院の医師が、退院後にかかる医療機関に提供する医療情報です。

これは、あくまでも医師が医療機関に対して提供するものであり、看護師が行うものではありません。
しかし、実際にこちらの診療報酬改定の概要について「患者が在宅から療養場所を変更する際に、患者に合わせた療養生活の支援が継続されるよう、医療機関が訪問看護ステーションと連携して医療機関等に情報提供を行う場合を評価する」とされています。
つまり、地域のかかりつけ病院などの医療機関の医師のみならず、訪問看護ステーションの看護師も連携して診療情報を提供することによって、訪問看護ステーションにも加算がつくといった流れになるのです。

これによって、入院する病院側にとってもあらかじめ患者のより詳細な情報を得ることができ、入院後の治療がよりスムーズで患者さんの個別性に合わせたものとなるでしょう。

訪問看護24時間体制の定義が見直しに?

【参照】厚生労働省HP

ターミナル期や人工呼吸器管理をしている訪問看護利用者の方などには、夜間の緊急時に備えて、24時間いつでも連絡がとれて、必要時には訪問の体制を整えている訪問看護ステーションの存在が不可欠です。さらに、現段階では24時間連絡体制や緊急訪問を利用する方が急激に増加しています。

24時間緊急時に備えて訪問看護師の配置をするということは、看護師にとっては日勤帯のみの勤務ではく、オンコール待機があります。そのため、24時間に対応するためには人件費としてコストが上乗せされてきます。

そこで24時間対応可能な体制を整備した訪問看護ステーションには、前回の2016年診療報酬改定内容として以下の2つが加算として挙げられました。

①24時間連絡体制加算
利用者・家族等から電話等により看護に関する意見を求められた場合に常に対応できる体制にある場合、また利用者の同意を得られた場合に算定されます。

②24時間対応体制加算
利用者・家族等から電話等により看護に関する意見を求められた場合に常に対応でき、必要に応じて緊急の訪問看護を行うことができる体制にある場合、また利用者の同意を得られた場合に算定されます。

今回、2018年の診療報酬改定では何が変わるかというと、上記①②のうち②の24時間対応体制加算に一本化されるのです。
つまり、これまでは24時間電話での対応のみの体制を敷いてきた訪問看護ステーションに対する加算がなくなり、24時間電話での対応だけではなく緊急の訪問看護を行える体制を整えた訪問看護ステーションのみが加算の対象となります。

おわりに

総務省統計局HPより

2018年の診療報酬改定は、冒頭で述べたように診療報酬と介護報酬の同時改定となり、今後さらに進む高齢化に伴う医療・介護のニーズの増加に対応するための重要なターニングポイントです。今後の医療政策では、患者数の増加が見込まれるなかで病床数を減らしていく方針をとっていますので、早急な退院支援の介入と在宅など地域へのスムーズな移行が求められます。その結果、病院と訪問看護ステーションや地域のかかりつけ医など他施設の連携がより重要となるでしょう。
今回の診療報酬・介護報酬改定はそういった社会的背景を踏まえて、評価の見直しがなされています。

上記に挙げた項目は改定内容のごく一部ですが、訪問看護ステーションの経営者にとっては押さえておくべき重要な項目です。

他にも多数の改定項目があり、それぞれの内容をチェックして経営の見直しをしていくことは大切です。しかし、なかなか一気にすべての項目を把握することは難しいと思います。
また、2018年4月以降も診療報酬の内容について分からないことや解釈に困ってしまうことがあるでしょう。

改定後の内容に慣れるまでは大変ですが、改定に至った社会的背景についても理解し、ひとつひとつ押さえていくよう心がけていきましょう。

またケアブックでは、診療報酬・介護報酬の改定内容についてわかりやすく解説した記事を順次アップしていく予定ですので是非また御覧ください。

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