前回は退院調整について、ざっくり流れを説明しました。
【参照:退院調整って?看護師は何をすればいいの?
そこで今回は、多職種との連携が欠かせない退院調整にはどういった対価がつくのかを説明していきたいと思います。

退院支援をすると診療報酬が得られるの?

退院調整看護師の仕事について前回述べましたが、退院支援には病棟でも退院調整部門でも、多くの時間をかけています。

もちろんこういった仕事もボランティアでやっているわけではありませんので、おこなった仕事に対して『診療報酬』という形できちんと対価が支払われるしくみになっています。
そこで「どの行為にどのような診療報酬が算定されるのか」をしっかり理解しておく必要があります。退院支援に対して診療報酬が支払われるようになった社会的背景についても少し説明します。

近年は、高齢多死社会の到来や、疾病構造の変化で、ひと昔前までの地域医療のあり方とニーズが変わってきました。というのも、かつては1つの医療機関ですべてを完結させる院内完結型医療であったのが、急性期から回復期、在宅や福祉施設に至るまで、さまざまな医療資源を効率的・効果的に活用する必要性が高まってきたのです。

そこで、診療報酬体系も在宅医療・地域連携を充実・促進させる流れに組み替えられつつあります。
こうして病院だけでなく、地域の診療所や居宅介護支援事業所などの関係機関も「連携」することによって診療報酬が得られるようになってきたのです。

次項では、退院調整において具体的にどのような場面で診療報酬が得られるのかを、入院時から退院時まで時系列で説明していきます。

入院後まもなくの段階で得られる診療報酬がある?

前回の退院調整に関する記事では、入院から3日以内に退院スクリーニングをおこなう、という説明をしました。実は、この早期におこなうスクリーニングも加算の算定要件になっているのです。
退院支援加算を算定するためには、入院後早期に退院困難な患者を抽出し、早期に患者・家族と面談し、多職種による退院支援に向けたカンファレンスを実施することが必要です。

ここで登場する『退院支援加算1』『退院支援加算2』については以下の表にまとめました。

ここでのポイントは、『退院支援加算1』のほうがより算定要件が厳しく、その分より高い点数が設けられているということです。また、『退院支援加算2』については、退院支援に専従する職員の配置、連携する医療機関の職員の定期的な面談、介護支援専門員との連携実績など、施設の規模や基準によってはそれを満たすのが難しい場合でも退院支援加算を得られるようになっています。

また、退院支援加算1・2ともに算定要件の1番目に「退院困難な患者の早期抽出」とありますが、退院困難な患者の要件とは何なのでしょうか?それに関しては以下の9つの要件が示されています。

1.悪性腫瘍。認知症または誤嚥性肺炎等の急性呼吸器感染症のいずれか
2.緊急入院である
3.介護保険が未申請の場合
4.入院前に比べADLが低下し、退院後の生活様式の再編が必要である
5.排泄に介助を要する
6.同居者の有無に関わらず、必要な介護を十分に提供できる状況にない
7.退院後に医療処置が必要
8.入退院を繰り返している
9.その他患者の状況から判断して1から8までに準ずると認められる場合

このように、入院時の早急な退院支援への介入が、患者さんにとって必要なことであると同時に、病院の経営にとっても診療報酬を得るという意味でも重要になってくるのです。

◆退院支援カンファレンスをすることで加算がつく?


退院支援で欠かせないのが、多職種が参加する『退院支援カンファレンス』ですね。退院前に、入院している病院側と今後移行していく在宅側の医療者が共同で説明や指導を行い、文書で情報提供をするという連携に対して診療報酬が支払われるしくみになっています。

このとき算定される診療報酬を『退院時共同指導料』と呼びます。
ここでポイントなのが、在宅側の医療機関には『退院時共同指導料1』入院中の医療機関には『退院時共同指導料2』といった2種類の診療報酬があるということです。

こちらについても以下の表にまとめます。

表を見ると退院時共同指導料2の②には「病院の医師と在宅医、訪問看護師、ケアマネージャなどの3者以上が共同した場合」とありますが、こちらの加算が2000点と他の項目と比べてかなり大きな点数が加算されることが分かります。そのため、退院支援カンファレンスでは3者以上のスタッフが参加することで得られる診療報酬を大幅に上げることができます。
もちろん、報酬面のみならず、患者さんの退院後の生活に必要な支援を話し合うという面でも有意義です。

入院している病院が得られる診療報酬のまとめ

ここまで説明してきた退院調整における診療報酬の算定方法に加えて、入院している病院が算定可能な診療報酬は、ほかにもあります。それをいくつか紹介します。

・総合評価加算(100点)

病状の安定が見込まれるできるだけ早期に、患者さんの基本的な日常生活能力・認知機能・意欲などについて総合的な評価を行うことで算定できます。その機能測定については看護師でもできますが、測定の結果にもとづく評価については、「研修を受けた医師または主治医が行う」とされています。

また、この評価結果を患者さんや家族に説明し、要点を診療録に記載することが算定の要件となっています。
具体的にどのような項目を評価するかというと、例としては以下のようなものになります。

①基本的ADL(排泄・移動に介助が必要かなど)
②手段的ADL(病棟外の売店などに1人で行って、用を足すことができる)
③意欲(自らあいさつができるかなど)
④認知機能(記憶力に問題はないかなど)
⑤情緒(ふさぎ込んだりしていないかなど)

 

・地域連携診療計画加算(300点)

この診療報酬は、地域連携クリティカルパスを運用した際に算定されます。地域クリティカルパスとは、急性期病院から回復期病院を経て早期に自宅に帰れるような診療計画で、治療を受ける全ての医療機関で共有して用いるものです。

この計画に沿って治療を行うことについて患者さんの同意を得た上で、入院後7日以内 に診療計画を作成し、文書で家族等に説明を行い交付することが算定要件として挙げられます。

 

・退院前在宅療養指導管理料(120点)

退院が見込める時期になると、入院中の患者さんは在宅療養に備えて試験的に自宅に外泊することができます。そこで病院は、在宅へ移行する際の指導を行ったとして『退院前在宅療養指導管理料』を算定できます。ただし、患者さんが退院した場合のみ算定可能で、転院した場合は算定不可能となるので注意が必要です。

 

・介護支援連携指導料(300点)

退院調整看護師や社会福祉士など院内の医療関係職種が、ケアマネージャーと協働して、患者さんに対して介護サービスなどの情報を提供した場合に算定されます。ここでポイントなのが、ケアマネージャーに情報提供を求める前に、患者さんの同意をもらう必要があります。これについては、退院支援計画書を作成し、患者さんや家族のサインをもらうという形で同意を取ることができます。

また、行った指導の要点をカルテに記載するといったことも算定要件となりますので、記録はしっかり取っておきましょう。

 

・在宅療養指導料(170点)

在宅へ移行した場合、インスリンの自己注射や在宅酸素療法、経管栄養などの医療処置が必要な患者さんには、事前に看護師が指導を行います。この指導に対して『在宅療養指導料』が算定可能です。

算定要件としては、「看護師が個別に療養上の指導を30分以上行った場合」、「医師はカルテに看護師への指示事項を記載する」、「看護師はカルテに指導の要点と実施時間を明記する」とありますので、こちらに関してもきちんとカルテ上で記録を残しておく必要があります。

 

・退院前訪問指導料(555点)

円滑に退院できるようにするため、患者さん宅を訪問し、患者さんまたは家族に対して、在宅での療養上の指導を行った場合に算定できます。こちらもまた、カルテに指導内容を記載することが算定要件となります。また、退院当日の訪問指導も算定可能となっています。

◆退院後に患者を受け入れる施設側が算定できる診療報酬

上記で述べた診療報酬は、入院している病院側が算定できる内容でしたが、ここでは退院調整において、地域のかかりつけ病院や施設、訪問看護ステーション側が算定できる診療報酬を紹介していきます。

【居宅介護事業所が算定できる介護報酬】

・退院・退所加算(300単位)
退院に向けて病院スタッフが、ケアマネージャーと協働して患者さんに対して介護サービスなどの情報提供をした際に、上記では病院側に『介護支援連携指導料』が算定されると説明しました。
実はこのとき、ケアマネージャーが所属する居宅介護事業所には『退院・退所加算』が算定されます。ここでポイントなのが、診療報酬ではなく介護報酬であるということです。つまりこちらの加算に関しては医療保険ではなく、介護保険から支払われます。

【訪問看護ステーションが算定できる診療報酬】

訪問看護ステーションが退院調整に関わるときに算定可能な診療報酬は次の3つあります。

1.訪問看護基本療養費
入院中の患者さんが退院後の在宅療養に備えて試験的に外泊を行った際に訪問看護をおこなった場合に算定可能です。こちらは、通常おこなわれる訪問看護の診療報酬と同じ枠組みとなっています。

2.退院支援指導加算
これは、介護保険の利用者で退院時に特別訪問看護指示書が交付された場合、退院日に訪問することで算定できます。

3.退院時共同加算
入院中の病院にて行われる退院支援カンファレンスに参加した場合に算定できます。

以上が入院した病院以外の医療機関や施設が算定できる診療報酬の一例となります。

おわりに

診療報酬について調べると、種類も多く複雑で、分からないことが多いと思います。

今回は退院調整・退院支援を行うときにあたっての場面を想定して紹介しましたが、実際に患者さんの治療の方針に従って、何が必要でどんな職種との連携が必要になってくるか?といった具体的な場面を想像しながら、ひとつひとつ診療報酬が発生するポイントを抑えていくことが1つのコツだと思います。

また2018年度には診療報酬・介護報酬の同時改定となります。改定された箇所があれば、なぜ改定されたのか?どういう意図で改定されたのか?と考えてみるのもよいかもしれません。

診療報酬が改定された社会的背景をつかむのは難しいことですが、今後求められる看護師としての役割をしっかり理解しておくためには大切なことだと思います。

【退院調整をもっと効率的に!!ITツールの開発にあたってご意見募集中☆】

〜以下にご協力頂ける方にはクオカード3000円分を贈呈いたします〜

弊社では、退院調整において病院の地域連携室の担当者が、
受け入れ可能な施設や訪問看護ステーションを見つけるために多大な時間と労力をかけていることに課題を感じ、
それを解決するために誰でも簡単に使えるWEBサービス「ケアブック地域連携」を開発しております。

在宅療養・施設・転院などの退院調整を支援し、
リリース初期では在宅療養の中でも訪問看護ステーションの調整に特化したサービスを想定中です。

そこで退院調整に関わる看護師やソーシャルワーカーなど地域連携室にいらっしゃる方のなかで、
一度弊社の開発製品についてご説明していただき、ご意見をいただける方を募集中しております!!

場所については、ご都合のよい最寄り駅等を
ご指定いただきましたら、その周辺のカフェ等でセッティングいたします。
お時間は30分〜60分程度を予定しております。

◆ご協力いただける方には3000円分のクオカードプレゼント
◆場所の都合上、東京、神奈川、千葉、埼玉在住の方限定とさせていただきます

ご協力いただける方は以下のフォームに必要事項をご入力の上、ご送信ください。