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訪問医療というと、どんなことができるとイメージされますか?

医師による診察、点滴や注射などの医療的処置、リハビリテーション、重度の利用者様になると医療機器の管理なども入ります。数ある訪問医療のなかでも『鍼灸』が選択できることをご存知でしたか?

今回は訪問鍼灸で行えること、どんな利用者様に適しているかなどをお話します。

鍼灸を選ぶメリット

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知ってはいるけど、体験したことはない…敷居が高いと思われがちな『鍼灸』にはどんな効果があるのでしょうか?

①痛みを抑える:鍼刺激によってモルヒネのようなホルモンが分泌されたり、痛みの信号が遮断されることで痛みが軽減されると言われています。

②自律神経のバランスを整える:鍼刺激によって、リラックス作用のあるセロトニンの分泌が高まり、反対に興奮作用のあるドーパミンは抑えられという研究結果(出典)があります。交感神経と副交感神経のバランスを整えることで内臓のコントロールを図ることができます。

③筋肉を緩める:鍼を刺すことによってリンパや血液の流れがよくなり、硬くなった筋肉をほぐす効果があります。

①~③の効果によって体質改善の改善も見込まれます。免疫力の向上、さらに自然治癒力の向上を図ることができます。お灸にはこれに加えて体を温める効果があります。

しかしながら、灸は直接皮膚に火の刺激を与えますので、皮膚の弱い方などは火傷等の副作用が出やすく、利用者様の要望、医師の指示をよく聞いたうえで慎重に進める必要性があります。

訪問鍼灸でできること、何をするか

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まず、訪問鍼灸が医療保険を利用して利用者様のお宅に来てもらうためには医師の同意が必要となります。医師が鍼灸治療の必要があると認めてもらわないといけないためちょっと疲れをとってほしいから~では難しいでしょう。

神経痛、リウマチ、腰痛、麻痺疾患、脳梗塞などの後遺症で同意が得られることが一般的です。もちろん自費での要望であればどんな症状でも訪問してもらうことが可能です。

訪問で行える施術は当然ですが鍼治療です。鍼を刺すだけでなく、そのうえ小型低周波治療器で電気刺激を送ったり、鍼の柄にに灸を巻きつけて燃やす灸頭鍼というやり方もあります。電気刺激を送る方法は痛みの抑制・筋肉の緊張を緩めることに即効性が望めます。

また、麻痺疾患の利用者様にはとても有効的です。鍼治療のほかに、マッサージや機能訓練を行うこともできます。鍼灸で筋肉を緩めた後にマッサージを行うことで相乗効果が望め、機能訓練では体が動きやすくなっている状態ですので、運動機能の維持・向上にさらに効果を与えることでしょう。

実際のエピソード(介護予防)

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訪問医療を利用する方は基本的に外出する機会が少なく、運動をするということがほとんどありません。その点で、訪問鍼灸と機能訓練の併用は介護予防の観点からもとても有効的であると言えます。

実際に訪問したAさん(男性)は腰の圧迫骨折の後遺症で歩くことはできるものの腰痛で悩んでおられました。男性ですので身の回りのことは奥さまにやってもらうことがほとんどでほおっておくと痛みが悪化する、それどころか筋力低下で歩けなくなってしまいます。

そこで奥さまのご要望で訪問鍼灸を利用されました。ほとんど動いていないこともあり腰の筋肉はカチカチ!そこで、鍼に加えて電気治療も併用することで筋肉を緩め、痛みを軽減することから始めました。

2週間ほどで痛みが少なくなったとご本人様から言われましたので、訓練として寝た状態での腰上げ運動を加えました。徐々に回数を増やすことでご本人様の自信にもつながり、最終的には見守りは必要ですが自宅周りの散歩をするようにまでなりました。

実際のエピソード(脳梗塞等の麻痺患者)

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前述したように、鍼治療と機能訓練の併用は脳梗塞などの後遺症で麻痺のある方にとても有効的です。鍼刺激に加えて電気刺激を筋肉に送ることは感覚の回復に期待が望めます。運動神経と知覚神経のそのどちらにも効果が期待できます。

実際に訪問したBさん(女性)は脳梗塞の後遺症で左下肢に麻痺のある方でした。とくに足首から下の麻痺がやや強く、装具をつけて杖で歩行できる状態でした。ご本人様から、家の中でだけでも装具なしで歩きたいという要望がありました。

まず初めに、左足の脛から足背を中心に鍼を打ち電気刺激を送ります。これによって、運動神経を呼び起こします。鍼の施術後に足首の関節を動かすことを中心とした機能訓練を行いました。

最初は自分で動かしている感覚も薄かったようでしたが、段々と強くなり、1年後ほどには装具なしで自宅を歩けるようになりました。麻痺疾患の方が効果を感じるには長期間必要ですが、少しづつ進歩することは間違いないと思います。

おわりに

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ここまで、鍼灸治療のいいところをお話してきました。最後に鍼灸には副作用もあることも知っておいていただきたいです。鍼の跡が残る・内出血・鍼の感覚が消えない…これらは時間とともに消えていきます。治療後にめまいや疲労感があるという方もいますが、これは体がよくなる前の一時的な反応と言われています。

なかには治療中に貧血や失神する方もいます。これは刺激に体がうまく反応できず、急激に血圧や心拍数が下がるために起こります。これらを副作用と捉えるかは個人の差はありますが、鍼治療が合わない人もいるというのは事実です。

もし合わないようでしたら、利用者様の無理のないようにしてください。しかし、合う方にはとても有効な手段ですので、うまく利用していけるといいですね。