こんにちは。株式会社3Sunnyインターン生の牧野です。
皆さんは、介護保険外サービスに対してどのようなイメージをお持ちでしょうか。

◯ 介護保険が適用できないから利用者さんから忌避されそう...
◯ 保険内の業務だって大変なのに保険外まで考えていられない!

少なくとも私はこんな風に思っていました。
しかし、介護保険は2000年施行当初から保険外サービスを使うこと前提で考えられていた制度だったのです。
本日は介護保険という枠組みの本質について、介護保険外サービス事業を展開されていらっしゃるホスピタリティ・ワン代表の高丸慶さんに詳しくお話を伺ってきました。

高丸慶さん

慶應義塾大学看護医療学部卒業。同大学院健康マネジメント研究科博士課程単位取得退学。看護師、保健師、居宅介護支援専門員。余命3か月の末期がん患者の看取りに特化した訪問看護サービスを開始。ホスピタリティ・ワン代表取締役、訪問看護支援協会代表、おくりびとアカデミー校長兼任。

◆保険外サービスのマーケットに関しては、学生時代からずっと注目していた

ー ホスピタリティ・ワンを立ち上げた経緯を教えて下さい。

一番最初はですね、2008年の4月にsepteniという会社のビジネスコンテストで、原型となるビジネスプランを提出したら最優秀賞を頂くことができて、「最優秀賞を取ることができたなら運営していけるんじゃないか」ということでボランティア団体としてスタートしました。
その半年後に株式会社として経営していこうと決意し、2008年10月から株式会社ホスピタリティ・ワンとして活動を始めました。

ー ビジネスコンテストに応募したときから、保険外サービスをやろうと思っていらっしゃたんですか?

私が看護学部に入学したのが、介護保険制度が執行されてから1年後のときで、「保険内だけではニーズを賄えないので二段階制度になっている」ことを学びましたから、保険外サービスのマーケットに関しては、学部時代からずっと注目していました。
一度就職してから大学院に戻り、研究論文に必要な実証実験のデータを取るために、先ほど申し上げたボランティア団体で活動を初めました。
その結果、「20代で臨床経験の無い看護師が始めた、富裕層向けの介護保険外サービス」でも使う人がいるという強烈なデータが取れました。そもそもその頃は、訪問看護ステーションで株式会社というのも主流じゃなくて、僕の試みは学会では総スカンを喰らいました(笑)オープニングから発表の場が凍りついていて、先生方には「理解の範囲を超えている」と思われていましたよ。
でも、そういう人間であっても、利用者さんからすると介護保険外サービスを使うとなると僕達しか選択肢がないので…。今まで経営してきて、利用者さんから「20代で臨床経験の無いヤツに自費で支払わされてワシは騙された!」と言われたことは一度もないです。 「お金はこれだけ頂きます」「僕は臨床経験がありません」ということはオープンに言っていますし、利用者さんは納得した上で僕達のサービスを使ってくださっていますよ。
そういった意味で言うと、お客さんの方のニーズの方をずっと向いてきているので、お客さんのニーズに答えるサービスを提供する会社という立て付けで僕達はやっています。

看護師としての視点を用いたサービスを提供しているんです。

保険だけを使っている人たちからすると「保険外サービスの会社」なんですけど、僕達からすれば、お客さんのニーズの中で、保険を使えれば保険を使い、保険が使えない部分は保険外で補っているんです。だから見方が違うんですよ。

ー なるほど。「保険外」じゃなくて「看護師の視点のサービスを考えたらこうなった」ということなんですね。

そうなんです。実は僕達、保険外の勉強会とかもやるんですけど、保険外という表現は変えたいんです。「保険が正しい」みたいな表現になっちゃうので。

◆医療保険はニーズが「1つ」、介護保険はニーズが「無限」という前提で設計されている

ー 多くの人が「保険内サービスだけ」という前提の考え方ですが、高丸さんの場合はそうじゃないですよね。その違いってどういうところから生まれるのでしょうか?「サービス」という考え方はビジネス畑の人からすると基本中の基本ですが、完全な医療畑の人はなぜかそういう視点になりづらいことが不思議なんですよね。

1つは、多くの訪問看護ステーションの経営者の方はビジネスをしているわけじゃないことだと思います。「私、起業するんです。色々教えて下さい。」という相談をよく受けるんですけど、それは新しい業を起こす起業ではなく、あくまで独立だと僕は思うんです。これまでいた場所から独立するだけだから、ビジネスという観点やサービスをするという観点が伴わないんですよね。

あとは介護保険の認識の問題ですかね。医療保険は公的サービスとして存在しているものなのですが、介護保険は公的とも言い切れず、准公的サービスみたいなものなんですよ。多くの看護師さん達は新卒で病院から働き始めますので、病院を辞めてから訪問看護師になります。なので、病院で患者さんがサービスを受けると医療保険で、地域に戻ったら介護保険という感覚で介護の世界に来てしまう。側面で見ると確かにそうなんですけど、本質はそこじゃないんです。
医療保険は混合サービスが今のところできない(※個室などの例外除く)のに対して、介護保険は2000年当初から解禁されています。病院から地域に戻るだけの医療保険制度の別立てだとしたら、同じ仕組みと考えて混合サービス不可でやるべきですよね。解禁されている理由は、そもそもの制度設計がぜんぜん違うからなんですよ。「病院から家に帰ったら混合サービスOK」という論点のとり方じゃないんです。医療保険と介護保険は異なる前提で設計された制度なんです。

医療保険は「ニーズが1つ」という前提で作られている制度設計です。ここが病院の待合室だとして、「今日何のために病院来たんですか?」と聞くと、みんなのニーズは1つで「自分の病気を治してもらいたい」と答えますよね。わざわざ聞かなくても、お医者さんは「80歳男性脳梗塞」と聞けば、この脳梗塞を治すための医療をしますし、看護師はその方に対して一番費用対効果が高い看護を提供する、薬も一番費用対効果が高いものを使用する。ちゃんと聞かないから逆にわからなくなってしまっている側面もあるんですけど…明確に病院に来る方のニーズは1つなんです。ニーズが1つなので、正規分布が取れるんです。
例えば、「80代男性 病名**」となったときに、一番費用対効果の高い治療(100人いたら80人効果のある治療)と、一番費用対効果の低い治療(100人いたら5人しか効かない治療)というものが必ずあるんです。国は、「この両方の薬を国としては出してあげたい、でもみんなで支え合う仕組みなので、効果の高い部分だけ保険で賄って、申し訳ないけど効果の低い部分は自分でやってください」と言うことができる。正規分布の山の部分は医療保険で、それ以外の外れ値のところは保険外サービスなんです。

ところが介護保険は逆で、「ニーズは無限」という前提で作られているサービスです。ここが家だとして、「今日は何のためにヘルパーさんをお昼に1時間頼んだの?」に対する答えは人によって違うんですよね。ご飯を食べさせてもらう方もいれば、身体を拭いてもらう方もいる。
そもそもですね、介護保険制度というのは2000年からできたと先ほど申し上げたんですけど、「介護」という言葉自体が造語なんです。それまでは「介助」って言葉だったんですよ。「介助」と「看護」を足して作った造語が「介護」です。1980年代とかは「介護」という言葉がなかったんです。「介護」は造語ですから定義しなくてはならないのですが、定義をするときに出てきたのが、その人の尊厳ある生活を支えるサービスを提供するというものでした。

その人の尊厳ある生活を支える「医療」ではないんです。その人の尊厳ある生活を支える「サービス」なんです。

サービスも尊厳ある生活も幅が非常にある表現で、本当に尊厳性は人によって様々なんですよ。例えば、70歳まで夜型だったおじいちゃんが要介護1とかになった途端に「ダメですよ!夜更かしなんかしちゃ!」と言ったら、その人の尊厳性からしたら「ふざけんな!」になっちゃうんですよね。お風呂も2回入りたい人もいる、1日1食好きなものをたくさん食べたい人もいる。
なおかつ、介護保険は自宅と呼ばれるところでしか使えない制度です。月曜日から日曜日までずーっと家にいますっていう人は世の中にほとんどいないじゃないですか。むしろ、そういう人がいたら「そんな生活をしていて健康状態は大丈夫なの?」って心配するじゃないですか(笑) でも、日本の制度はそうなっているんです。「介護保険は家にいないと使えません」となっている。なので、保険外サービスを使って「土日は箱根の別荘に行きたい」という人もいますし、「週末は銀座の三越で銀ブラする」という人もいます。それって結局その人の尊厳性に関わる部分ですよね。尊厳性は人によってニーズが全然違う。ここにいる僕達3人でも週末の過ごし方は全然違いますよね。
そうすると国としては、人によってニーズがバラつくので正規部分がとれないんです。「こうすれば絶対費用対効果が高い」というものがない。
ニーズが無限だったときに、人として尊厳を保つための最低限のところ、「栄養がとれている」「安全が確保されている」「清潔が保たれている」こと。これらは保険でやりましょうということで作られたのが介護保険です。尊厳性のところは人それぞれなので保険外サービスでカバーできるように二段階制度にしましょうと2000年当初から考えられていました。

◆情報があるのに、みんな学ぼうとしないだけ

僕はケアマネの資格も持っていますけど、ケアプランというのはお客さんのニーズに適合したプランを立てるというのが本来の形です。その中で、保険でできることは保険内で、保険でできないことは保険外のインフォーマルサービスを入れて完成なんです。でも、多くの今のケアマネさんは、「お客さんのニーズがこれだけあったら、保険の枠がこれなのでここで押し込めよう」とするんです。

ー 現状は「保険の枠に押し込めよう」という認識が強すぎますよね。かつ、利用者さんの理解もまだ伴っていないからかもしれないんですけど、保険内にうまく押し込んでくれる方が「いいケアマネさん」だと認識されている方が大半だなぁと。

そうなんですよね。ケアマネさん自身がそれで自己満足モードに入ってしまっていると言いますか…。ある利用者さんは、ケアマネさんと保険内サービスを受ける訪問看護ステーションだけでは足りなくて、土日は銀ブラしたいので僕達のサービスを使っています。
利用者さんを取り巻いている僕達それぞれは顔見知りで、どういうケアマネさんや看護師さんが入っているか知っているんですけど、面白いのが、ケアマネさんがケアプランに僕達のプランは入れないんですよ。入れないといいますか、「保険外なのでもう直接利用者さんとやって下さい。自分が間に入ると仕事の負担が増えてしまいますから。」って言われるんです。これではケアマネさんの仕事は機械に奪われてしまうと思います。

ー そんな状況なんですか。

ケアマネさんからすると、インフォーマルサービスを入れても入れなくてももらえるお給料は変わらないので、インセンティブが働かないんですよね。手間がかかるインフォーマルサービスを探したり、そこにお声がけをしてカンファレンスを開いたりする手間を考えれば、外部委託しちゃったほうが良い、というのが今までの風潮ですね。

ー 高丸さんが保険外サービスをやっている理由がよくわかりました。介護が必要になったら、「サービスという視点で考えて何が必要か?ここは保険内で、ここは保険外じゃないといけないですね」ということを考えてくれる人に相談したいと思いました。こんなに幸せになれる方法ってあるんですね。

そうなんですよ。ハッピーになれる方法はたくさんあります。情報があるのに、みんな学ぼうとしないだけなんです。

ー シンプルな視点故に、みんなが持っていない視点だなと思いました。

介護は急にやってくるものだから準備ができなくて、ケアマネさんに言われたままにみんな「じゃあ、それでお願いします」ってなってしまうんでしょうね。

ホスピタリティ・ワンでは、保険外サービスを併用することで、終末期を迎えられる利用者さんとそのご家族の不安を解消し、「豊かな最期」を安心して送れるようなサポートプランを立てて実行します。そのため弊社で働く看護師さんたちは、「死への準備」や「エンディングへの目標設定」のサポートを行い、利用者さんに「良い人生だった」と最期に思って頂けるようなお手伝いをしていますね。
利用者さん・ご家族と深い関わりを持つことは病棟ではなかなかできませんし、保険外サービスにも注力している訪問看護ステーションさんは非常に少ないので、利用者さんのニーズにとことん寄り添えるのはホスピタリティ・ワンならではだと思います。

◆ホスピタリティ・ワンさんでは採用強化中!

インタビューさせて頂いたホスピタリティ・ワンさんでは、現在採用を強化中です。保険外サービスに関心がある看護師さん・利用者さんの豊かな最期をサポートしたい看護師さん、ぜひお気軽に申し込んでみてくださいね。

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