現役の看護学生が新卒新人訪問看護師にインタビューをする企画です。

「経験不問」を採用条件に掲げるケアプロ訪問看護ステーション。これまで新卒で訪問看護師となった方々にインタビューをしました。今回は、新卒訪問看護師にどのような教育を行なっているのか、ケアプロ株式会社で新卒・新人の教育に携わる岡田理沙さんにお話いただきました。

ケアプロ訪問看護ステーション1年目小川奈美さんのインタビューはこちら
ケアプロ訪問看護ステーション4年目小瀬文彰さんのインタビューはこちら

岡田理沙さん

ケアプロ株式会社 ケアプロ訪問看護ステーション東京 看護室 教育の責任者
日本赤十字看護大学を卒業後、慶應義塾大学病院に8年間勤務。大学院で看護教育の研究に励もうと病院を退職。大学院へ進学し、看護教育領域で修士号を取得。
これまでケアプロにて、4名の新卒訪問看護師の教育に関わる。

◆教えることで先輩が教わることもある。だからスタッフみんなで育てる。

ー どのような経緯でケアプロの教育に携わることになったのでしょうか。

現在、ケアプロ訪問看護ステーション東京の看護室という部署に所属しています。
もともと、大学院で看護教育を学びながら、ケアプロの訪問看護師として勤務していました、大学院では、若い看護師がいきいきと看護師としてのキャリアを積んでいくために、どのような教育や支援が必要かということに感心を持ちながら学んでいました。

ケアプロでは、新卒の小瀬が日々の実践の中で、悩みながらも日々素晴らしい実践をしている姿を看みて、若い看護師は、病院だけでなく、訪問看護という業態の中でも育成し、成長していくことができるのではないか、そのためにより適切な教育や支援体制を構築していく必要があるのではないかと考えました。

そこで、日々の新卒訪問看護師への教育に携わるとともに、ケアプロ式新卒・新人訪問看護師教育プログラムの作成にも取り掛かりました。そして、大学院の修了と同時に、ケアプロでは、看護室という部署で、新卒への教育の体制整備、現場での教育活動のサポートなどをするケアプロ全体の教育の責任を統括するような仕事をするようになりました。

ー ケアプロはどのような新卒訪問看護師教育体制なのですか。

ケアプロの教育体制は「ステーションみんなで育てる教育」です。教育担当者、プリセプター(新卒看護師とペアになって共に学び教える看護師)、教育の責任者などがいますが、固定したスタッフだけではなく、クラークや他のスタッフ全員で新卒の教育に関わる体制としています。

訪問看護の特徴として、訪問看護ステーションの中だけではなく、ご利用者様のご自宅に同行訪問の中で学ぶことが多くあるので、特定の先輩看護師から教わったり指導されたりするわけではなく、関わる全てのスタッフみんなで教えることを大切にしています。

全てのスタッフで新卒を指導や教育をすることで、教えているスタッフの方が学ぶことが多くあります。新卒に何気なくしていた日々の看護実践をエビデンスとともに説明することで、理解の足りない部分が明らかになったり、日々の実践を俯瞰してみる機会にもなります。そのため、ステーションみんなで育てる教育体制は、新卒も、教育に関わるスタッフも学びが多くとても大切にしています。

 

◆一つ一つの目標、ステップを踏んで、単独訪問へ。

ー 新卒訪問看護師が、単独訪問できるようにどのような教育をするのでしょうか。

新卒訪問看護師が単独訪問を目指せるように、まずは単独訪問が実施可能そうなご利用者様を検討します。新卒訪問看護師の場合は、基礎看護技術も実際の現場では全く経験がないので、一つ一つの技術を学習できるようなご利用者様や病状や療養が安定しているご利用者様を訪問させていただいています。

単独訪問までには「同行見学→同行一部実施→同行一連実施→単独チェック→単独訪問」
というステップを必ず踏むようにしています。ステップごとに、一つ一つに目標を決めていて、ステップを踏むようにしています。ステップごとの目標を一つ一つ達成するために、何回も繰り返し行います。これを新卒訪問看護師が単独訪問に行く全てのご利用者様に行なっています。

ご利用者様の選定やご利用者様ごとのステップの進捗状況の確認は、各訪問看護ステーションにいる教育担当者が行います。今のステップがどの程度進んでいるのか、新卒訪問看護師につまずきがないか、焦りがないかなど細やかに確認しつつ行なっています。基本的に、現場での教育に関するマネジメントは、教育担当者が各訪問看護ステーションで行っています。教育責任者は各訪問看護ステーションで困っていることを探ったり、外部の教育資源の連携を図ったり、ケアプロとしての教育プログラムを立案するなどの統括的な仕事をしています。

ー 看護技術の習得など、一事業所の中だけではカバーしきれない部分もあると思いますがいかがでしょうか。

事業所だけでカバーできない部分で言うと、最新医療の勉強は難しいので、外部の勉強会に積極的に参加してもらっています。新卒など経験に関係なく、シフトを調整して各自が関心のある領域の勉強会に参加できるようにしています。

そして、ケアプロの新卒教育の中で特徴的なのは、聖路加国際大学のシュミュレーション施設をお借りして「シミュレーション教育」を行ない始めたことです。基礎看護技術の中でも、何度も練習して、スムーズにおこなえるようにする必要のある技術、特に、オムツ交換、陰部洗浄、ベッドから車椅子への移乗ケアなどは、頭でわかっていて、スムーズに行かないことが多い技術です。加えて、吸引やバルーンカテーテルの挿入、点滴などの穿刺の練習もしています。

そのため、手技がうまくいかない、習得しづらいという、新卒訪問看護師の困難を解決するために、シュミュレーション施設での研修も開始しました。現在は、シーズンごとに数回に分けて研修を開催しています。

 

◆「社会に本当に必要かどうか」を問う、プロとしての正しい医療倫理観を持つことがケアプロ株式会社の価値観。

ー 他に何かケアプロの教育体制で特徴的なことはありますか。

最も特徴的なのは、現場のスタッフ、所長、担当者、新卒・新人、みんなが「困っていることを解決」する姿勢で成り立っていることですね。解決方法を探し、試してみて、うまく行った方法を体系化していることがケアプロの教育体制の特徴です。

そのため、教育プログラムは、毎年毎年改定されています。新卒訪問看護師も自分が課題に思ったことを次の後輩に活かそうと意識し、困っていることを積極的に言語化して相談してもらうようにしています。それが、また、会社貢献、業界貢献につながり、一人ひとりのやりがいにつながっていると思います。

ー 改めて、変化や挑戦に対して前向きな風土を感じます。

 ケアプロ株式会社は、「社会にほんとうに必要うかどうか」を考えることを会社の行動規範としています。新卒訪問看護師の採用、育成にしてもそこに必要性と可能性があるので、今後も積極的に新卒の採用をし、会社全体で育成していく事を続けていきたいと考えています。

 

◆ケアプロだけで新卒訪問看護師の育成をしてもしょうがない。そのノウハウを共有したい。

ー 今後の新卒訪問看護師教育の目指したい方向性を伺いたいです。

新卒訪問看護師教育の目指したい方向としては、当然のように新卒を訪問看護師として受け入れられる教育支援体制を拡充していくことです。今は、新卒訪問看護師のロールモデルが少ないと思いますが、徐々に、新卒を採用できる訪問看護ステーションが増え、新卒訪問看護師が増えていくことを願っています。そのためにも、受け入れ体制の構築や支援体制の構築は喫緊の課題です。

加えて、新卒訪問看護師の方々がどういうステップで学び成長をしていくのか、どういう点で困難を感じているのかをより明らかにして、更に適した支援体制の構築をしたいと考えています。

支援体制の構築という点では、2016年12月に「ケアプロ式 新卒・新人訪問看護師教育プログラム」を出版しました。これまで、5年間をかけて培ってきたケアプロの教育のノウハウをまとめさせていただきました。

訪問看護ステーションに勤務している看護師や管理者の方や、看護系大学の先生も読んでくださっています。大学の先生は新卒を訪問看護の世界に送り出したいと考えてくださっている方もいます。しかし、大学の教員の方々が現場で新卒を育成するわけではないので、勧める後ろ盾がないようです。本当に新卒に訪問看護を勧めていいのかなという迷いがあるのかもしれません。そちらの懸念点も取り去っていきたいと考えています。

※「ケアプロ式 新卒・新人訪問看護師教育プログラム」出版記念イベントが2/5に行われます!詳細はこちらから。

ー まだまだ訪問看護師の割合は少なく、新卒は特に少ない印象ですが何が課題なのでしょうか。

学生さん自身の立場で考えると、新卒訪問看護師のロールモデルが少ない問題があると思います。全国には新卒訪問看護師がいたとしても、それぞれの訪問看護ステーションでは、初めての新卒になることが多いので、そこに飛び立つ勇気があるかどうかも課題です。

また、新卒を受け入れる側としては、新卒をどう育て、どう経営としてサポートし、どうナースとして一人前に育てるかという流れができていないことが課題です。流れができていないので、反対するアクターを説得できないことがあると思います。新卒の両親、先生などに新卒で訪問看護師は無理だと思われていることも、払拭するべき課題だと思っています。

2014年の厚生労働省医政局看護課の調査によると、訪問看護ステーションに就業する看護師免許取得者の割合は2.5%とされている。

ー 4名の新卒訪問看護師がいるケアプロも一つのロールモデルになっていると感じます。

弊社の4名の新卒訪問看護師は、自分が実践している看護を言語化して語れます。現場での実践を新卒の口から聞くと、すごいインパクトがあって、多くの方が納得されます。学会等で看護の教授、訪問看護ステーション管理者、病院の看護師にも現場の紹介をしています。

 

◆新卒訪問看護師になりたいんだったら、なれる。心配しなくても大丈夫。

ー やりがいを感じる瞬間を伺いたいです。

新卒が少しずつでも様々なことを学び成長できていると感じたときです。そして、教育に関わっているスタッフたちも、新卒を教えることで学ぼうとする姿があることです。そういう瞬間が日々あります。新卒が組織を育ててくれることがたくさんあると思います。そこをサポートするのが私の使命で仕事だと思っています。

新卒を教えている教育担当者が「新卒がこんなに成長している」と嬉しそうに、私に話してくれたことがありました。そんなときは、新卒も教育担当者も成長しているということで一石二鳥だと思っています。私もその状況を見て嬉しく、学ぶことが多いので一石三鳥くらいありますね(笑)。

新卒訪問看護師の教育という面から言えば、認定看護師、看護管理者、病棟看護師など色々なキャリアがある中で、スタートが新卒訪問看護師だとしても、様々なキャリアを歩めるようにしたいです。これから10年くらいかかっちゃうかもしれませんが。

ー どのような人に訪問看護師になってほしいですか。

訪問看護師になりたい人は、チャレンジしてほしいです。「なりたいんだったら、なれるよ。心配しなくても大丈夫。」と言います。

特に新卒訪問看護師はまだまだ全国的に人数が少ないですが、それを楽しめる人が良いと思います。新卒訪問看護師は特別なキャリアという印象があるかもしれないです。でも、当然のキャリアになる未来があると思っています。新卒訪問看護師が、普通にキャリアを歩めるサポートをすることが私の目標です。

 

◆ケアプロさんでは見学者応募中!

インタビューさせて頂いたケアプロさんでは、訪問看護ステーション見学会を行っています。新卒で訪問看護に挑戦したい方、また訪問看護未経験者など、ぜひお気軽に申し込んでみて下さいね。

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