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在宅では病院のように要介護者が快適に過ごせるような充実した設備はありません。それでも在宅介護・在宅療養者はそんな不便な中で介護・療養生活を送らなくてはならないのです。限られた環境や空間をいかに工夫して、またはバリアフリー化などのリフォームを実施することで、どれだけ快適な空間に近づけるかは、在宅介護・在宅療養を送る方にとって大切な事です。

健康な時には何気なく見過ごしている風景も介護が必要な方にとってはとても不便な環境になってしまう事もあります。ここではそんな環境を快適な介護生活を送れるように工夫していった例をご紹介します。

◆在宅生活を安全に過ごせる工夫~バリアフリー

在宅療養をされる患者様の多くは寝たきりか、車いす、杖等、自力での歩行が難しい方が大半です。

その為、室内外、屋外への移動が楽にできるようになる事が何より重要になります。

基本的なバリアフリーについてはケアマネジャーさんが、利用者さんの生活環境を観察した上で、必要な器材の購入やレンタル、住宅改修等を行い、介護がしやすいように環境を整える努力をしています。

患者様の生活環境や経済状態、家の構造、間取り等で充分な成果を上げられない場合、どの程度まで改修を進めるかは状況次第といったところです。ご家族の熱意によって完璧なバリアフリーを実現させたお宅もあれば、様々な障害があって実現が難しいお宅もありました。それでもより良い介護生活を送って頂くよう介護関係スタッフは努めています。

素晴らしい日本庭園は障害物だらけ

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私が実際に訪問していたお宅のお話です。

そのお宅は大きな門を入ってすぐのところにガレージがあり、玄関はそこから更に十数m奥にあるという、大きなお屋敷。庭石や立派な松が植えられた庭を横切って玄関に向かうようになっており、その庭を横切るように小さな川が流れていてコンクリート製のアーチ状の小さな橋がかかっていました。普段なら素晴らしい日本庭園だと感心するような光景です。

ですが、これでは、杖や車いすを必要とする主にとっては実は障害だらけの環境です。

飛び石は杖歩行にも車いすの移動にもその凸凹が障害になりましたし、小川にかかる橋は狭くてデイサービスの送迎車は玄関前まで入れません。庭木のいくつかも車両の通行を阻んでいました。

結局、飛び石はコンクリートを流し込んで埋めて平らにされ、コンクリート製の小さな橋は幅広の平らな橋に架け替えられ、通路を塞ぐ庭木は取り除かれ、代わりに芝が植えられました。

そうして、コンクリートの隙間から見え隠れする飛び石だけが以前の庭の面影を残す広々とした空間ができました。

庭の様相はすっかり変わってしまいましたが、利用者さんは元気に毎日デイサービスに通い、すっかり歩きやすくなった庭を時々散策されています。

完璧なバリアフリーに改修されたお宅

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その方は、難病の為に車いすの生活を余儀なくされていましたが、主婦としてできる事はやりたいという強い意思の持ち主でした。改修されたお宅は、玄関のアプローチから緩やかなスロープが玄関ホールまで伸びていて、彼女のベッドのある居室まで完全なバリアフリーになっていました。

明るく改修されたトイレは居室から直に行けるようになっていて、回転式の軽い扉と、車いすでも充分動ける広さを確保されていました。いたるところに手すりが付けられ、とても使い勝手が良くなったそうです。

キッチンや脱衣所は扉を無くして車いすでも通りやすくされていて、必要時だけアコーディオンカーテンを使うそうです。流し台や調理台、洗面台は彼女が車いすで使いやすい高さに揃えられていました。

皮膚が弱く、火傷しやすい彼女の為に安全性を考えて暖房はエアコンとオイルヒーターのみ。

住宅をバリアフリーに改修した事で、トイレに家族の手を借りる事も無くなり、ちょっとした家事もできるようになった事で彼女は心の余裕と自信を持ったようでした。彼女は日々積極的にリハビリに励み、周囲の方とも楽しくお喋りをして過ごすようになりました。

バリアフリーが難しい日本家屋

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一般的な日本家屋はバリアフリーが難しいといえます。まず、部屋に壁が無く、部屋同志は襖や障子で仕切られているという事です。その為に手すりが付けられない場合が多くあります。

私が訪問していたお宅では僅かな壁に手すりを付け、襖がある所では蝶番を付けて、不用時は上に上げておける可動式の手すりを設置されていました。

他にも、廊下が狭い為に両側に手すりを付けると車いすどころか歩行器も通れなくなるお宅もありました。幅を取らないタイプの手すりを片側だけに付け、歩行時は必ず介助するようにしました。

また、古いお宅は家の構造上、段差が多く、しかもその段差が高いという事が多くありました。玄関の敷居、土間から上がり框、廊下から部屋に上がるにも段差があるお宅もあります。

あるお宅は、増築の関係もあって特に段差が多くありました。患者様は片マヒがあり杖を使用されるのですが、筋力低下もあり、よく転倒されるので歩く時には呼んでくださいとお願いしていました。それなのによく1人で歩いては転倒され、額などに外傷を負っておられました。

そこで、家具の角等、危険な場所に衝撃吸収材を貼ったりしていましたが、ご本人はプライドが高く、筋力が低下しているという意識はありませんでした。その為、ご家族の隙を見ては1人でどんどん行動範囲を広げ、疲れて床に倒れて傷を負ったりもされるのであまり効果はありませんでした。

◆訪問入浴と住宅事情の狭間で

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自力で移乗も、長時間の座位保持もできない為に、訪問入浴を計画された患者様がいらっしゃいました。

しかし、ご家族は頑なに拒否。理由は入浴中の湯気が建具を痛めるというものでした。立派なお宅で見事な襖絵と立派な欄間が嵌めこんである座敷が患者様のお部屋になっていました。確かにこれは湿気が心配になるのも判る気がするのですけどせっかく入浴できる状態にあるのに入浴できないのもお気の毒です。

そこで、せめて夏季の間だけでもシャワー浴できないかと考えました。

訪問看護の車内には入浴介助用の折りたたみ式の椅子が常備してあります。それは、足にキャスターが付いていて車いすのように患者様を浴室まで運ぶ事ができるものでした。それを使って自室から浴室まで長い廊下を移動してシャワーを浴びて頂こうという訳です。この椅子は背もたれも肘掛も付いているので片手で支えながらなら看護師1人でも狭い浴室で洗身できそうでした。やってみると予想以上にうまくいき、浴室の段差もコツさえつかめば看護師1人で越えられる事が判りました。ご家族も、入浴中にベッドのシーツ交換をして、取り変えたシーツ等、洗濯予定の物を部屋から浴室へ向かう廊下に敷き詰める事で、入浴介助用椅子から落ちる雫で廊下が濡れる事を防ぐ事にも成功しました。

夏の終わりに、「寒くなるので、そろそろ止めましょうか?」とお話すると、廊下や脱衣室にいくつも暖房器具を並べて下さいました。私達も、湯船に熱い湯を張って浴室を温める等工夫して、夏季限定のつもりだったシャワー浴は秋まで続きました。その後、いよいよ寒さが増し、シャワー浴は無理だという頃になって、ようやく訪問入浴を受け入れて頂ける事になりました。暖かな湯船に浸かった患者様はとても満足そうだったそうです。ご家族は「シャワー浴をとても楽しみにしていたのが、寒くなってできなくなるのが可哀想になってしまいました」と仰います。患者様の為の仕組みをやっと受け入れて頂けてほっとした瞬間でした。

◆在宅介護が増えている現実の中で

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保険制度の改正によって、在宅療養者が増え、ターミナルステージの患者様も、自宅で痛みを取りながら穏やかに最期を迎える事もできるようになりました。今は、自宅で過ごす意義とその意味について考え、柔軟な対応が必要とされる時代なのかもしれません。

元々は家族の生活の場である自宅が介護の為に改修を余儀なくされるのです。私達は患者様とご家族の為に、多くの事情や制約のある中で、より良い環境作りに励んでいかなければと考えています。

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