2016年に実施された診療報酬改定では、訪問看護に関わるものは6項目あり、この記事ではそのうち「病院・診療所からの訪問看護の評価」について解説します。

具体的には「在宅患者訪問看護・指導料」が値上がりしました。これには、「医師にもっと訪問看護を使ってもらおう」という狙いがあります。

病院や診療所向けの報酬なので、訪問看護ステーションの収入には直接関係のない話なのですが、ただ「厚生労働省の訪問看護ステーションへの期待」が色濃く出ている改定なので、訪問看護スタッフも知っていて損はないですよ!

◆厚生労働省は報酬で誘導する

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「在宅患者訪問看護・指導料」は、病院や診療所の医師が在宅患者に訪問看護を提供したときに、療養上必要な指導を行った場合に、病院や診療所に支払われる報酬です。

2016年の改定では、15,550円の報酬を、5,800円に値上げしました。厚生労働省は、医療機関や介護事業所に「こういう仕事をしてもらいたい」と考えたときに、その業務の報酬を上げることで誘導します。つまりこの報酬の値上げは、医師に「もっと訪問看護を使ってください」というメッセージに他なりません。

厚生労働省はいま、盛んに「シームレスケア」を呼びかけています。これは「継ぎ目のない医療・介護」という意味です。

医療費や介護費を含む社会保障費は、天文学的な金額に膨れ上がり、同省は「病院から在宅へ」の流れを強力に推し進めています。そこで、入院期間を短縮させる政策を進める一方で、在宅医療、在宅看護、在宅介護に力を入れています。

◆医師がもっと訪問看護を活用すれば訪看NSが増える?

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しかし医師の中には、まだまだ「訪問看護は病院看護よりレベルが低い」と思っている人がいます。そのような医師は「この患者を退院させて訪問看護でケアさせるなんて無理」と考えがちです。

そこで厚生労働省は、病院の勤務医たちが訪問看護を使って患者を在宅復帰させたときの報酬を値上げしたわけです。

訪問看護ステーションに務めている看護師は、全看護師の数%にすぎません。医師が在宅を進めないから訪問看護ステーションが増えないのか、訪問看護ステーションが増えないから医師が訪問看護を活用しないのかは分かりませんが、いずれにしても、国としては訪問看護スタッフをもっと増やしたいのです。

◆同じ建物内にいる複数の在宅患者に関する報酬も値上げ

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「病院・診療所からの訪問看護の評価」に関する改定では、「同一建物居住者訪問看護・指導料」も増額されました。内容的には上記でみた「在宅患者訪問看護・指導料」と変わりありませんが、ただこちらの項目では、訪問看護を受ける患者が「同じ建物内に複数人いる」ことを想定しています。「同じ建物」とは、サービス付き高齢者住宅や高齢者下宿、住宅型有料老人ホームなどのことです。

訪問看護の利用者が同じ建物の中にいるので、訪問看護スタッフの「移動の労力」が小さくなります。そこで同じ建物内に利用者が増えれば増えるほど、報酬は減る仕組みになっています。その傾向自体は2016年改定でも変わっていないのですが、ただ、厚生労働省の「ちょっとした配慮」が見えるのです。次の表は、改定前後の報酬の比較です。

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この報酬表で計算すると、「同じ日に2人の患者に訪問看護指導した方が、同じ日に3人を訪問看護指導したときより報酬が高くなる」という矛盾が生じます。この矛盾は、従来の報酬でも改定後の報酬でも同じです。 ところが「同じ日に4人の患者に訪問看護指導を行う」ケースで比べると、改定後の方が報酬が有利になるのです。試算は次の通りです。

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わずかではありますが、「4人の患者を指導しても、2人の患者を指導しても報酬がほとんど変わらないじゃないか!」という不満が解消されているのです。現在、「在宅=自宅」という概念は古くなっていて、「在宅=自宅やサ高住や介護施設など、病院以外の住む場所」と考えられています。

今後ますます、「サ高住や介護施設など」の利用者が増えることが見込まれています。つまり訪問看護の利用者の多くが自宅ではない場所に住むことが考えられます。国は、このまま「同一建物への訪問看護は移動労力が小さいから報酬も減らしてよい」という考え方を強化すれば、医師の「訪問看護離れ」が解消できないと思ったのかもしれません。

◆おわりに

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今回の改定では、「退院前訪問指導料」も5,550円から5,800円に増額されています。これは、入院医療機関が患者の在宅移行を支援したときの報酬です。医師や看護師などが、患者の退院前に患者宅に訪れて家族にアドバイスを行ったときにもらえます。

こうした取り組みの背景には、在宅医療・在宅介護を増やそうという狙いがあります。国がこれだけ力を入れているのですから、訪問看護の需要はますます伸びるでしょう。

◆参考資料、URL

●「2016年度 診療報酬改定の概要」(厚生労働省保健局医療課)

●C005在宅患者訪問看護・指導料(1日につき)(今日の臨床サポート)

●「専門性の高い看護師と連携するためガイド(訪問看護ステーション用)」(一般社団法人 全国訪問看護事業協会)

●医療機関からの訪問看護、報酬引き上げへ、訪問看護人材育成し地域包括ケア推進―中医協総会(メディ・ウォッチ2015年11月)

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